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January 1, 2015 Vol. 372 No. 1

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悪性黒色腫におけるダブラフェニブとトラメチニブの併用による全生存期間の延長
Improved Overall Survival in Melanoma with Combined Dabrafenib and Trametinib

C. Robert and Others

背景

未治療の BRAF V600E または V600K 変異陽性転移性悪性黒色腫患者において,BRAF 阻害薬であるベムラフェニブ(vemurafenib)とダブラフェニブ(dabrafenib)は単剤で有効性を示している.この患者集団にダブラフェニブと MEK 阻害薬であるトラメチニブ(trametinib)を併用した試験では,ダブラフェニブ単独と比較して,抗腫瘍活性が増強した.

方 法

非盲検第 3 相試験で,BRAF V600 変異陽性転移性悪性黒色腫患者 704 例を対象に,第一選択治療として,ダブラフェニブ(150 mg を 1 日 2 回経口投与)とトラメチニブ(2 mg を 1 日 1 回経口投与)の併用と,ベムラフェニブ(960 mg を 1 日 2 回経口投与)のいずれかに無作為に割り付けた.主要評価項目は全生存期間とした.

結 果

事前に計画した全生存率の中間解析は,予測された総イベント数の 77%が発生した時点で実施され,12 ヵ月の時点における全生存率は併用群 72%(95%信頼区間 [CI] 67~77),ベムラフェニブ群 65%(95% CI 59~70)であった(併用群における死亡のハザード比 0.69,95% CI 0.53~0.89,P=0.005).事前に規定した中間解析における中止基準を超え,有効性が確認されたため 2014 年 7 月に試験を中止した.無増悪生存期間中央値は,併用群 11.4 ヵ月,ベムラフェニブ群 7.3 ヵ月であった(ハザード比 0.56,95% CI 0.46~0.69,P<0.001).客観的奏効率は,併用群 64%,ベムラフェニブ群 51%であった(P<0.001).重篤な有害事象の発現率と試験薬中止率は 2 群で同程度であった.皮膚有棘細胞癌とケラトアカントーマが併用群で 1%,ベムラフェニブ群で 18%に発生した.

結 論

未治療の BRAF V600E または V600K 変異陽性転移性悪性黒色腫患者において,ダブラフェニブとトラメチニブの併用は,ベムラフェニブ単剤と比較して,全体的な毒性を増加させることなく全生存期間を有意に延長した.(GlaxoSmithKline 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01597908)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 30 - 9. )