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January 22, 2015 Vol. 372 No. 4

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先天性側弯症における TBX6 のヌル多様体と共通して認められる低形質アレル
TBX6 Null Variants and a Common Hypomorphic Allele in Congenital Scoliosis

N. Wu and Others

背景

先天性側弯症はよくみられる脊椎奇形である.先天性側弯症には遺伝的感受性の関与が示唆されている.

方 法

孤発性先天性側弯症を有する漢民族 161 例,漢民族対照者 166 例,家族構成員に 16p11.2 欠失保有者のいる漢民族 2 家系を対象として,比較ゲノムハイブリダイゼーション法,定量的ポリメラーゼ連鎖反応解析,DNA 塩基配列決定法を用いて評価した.再現性検証を,先天性側弯症を有する別の漢民族 76 例,複数の施設における 16p11.2 の欠失保有者 42 例を対象に行った.

結 果

孤発性先天性側弯症を有する 161 例において,ヘテロ接合性の TBX6 ヌル変異を 17 例(11%)で同定したが,対照 166 例の TBX6 にはヌル変異は認められなかった(P<3.8×10-6).ヌルアレルの内訳は,コピー数多様体(TBX6 に影響を及ぼす 16p11.2 の欠失 12 例)と一塩基多様体(ナンセンス変異 1 例,フレームシフト変異 4 例)である.しかし,16p11.2 の欠失保有者のいる家系内の表現型の不一致から,ヘテロ接合性の TBX6 ヌル変異は,先天性側弯症を引き起こすのに不十分であることが示唆された.次に,第二のリスクアレルとして,TBX6 ヌル変異保有者 17 例全例に共通して認められる TBX6 ハプロタイプを同定した(P<1.1×10-6).TBX6 に影響を及ぼす欠失を有する別の先天性側弯症患者集団を対象とした再現性の検証により,複合遺伝モデルが確認された.in vitro 機能アッセイにより,このリスクハプロタイプは低形質アレルであることが示唆された.半椎が TBX6 関連先天性側弯症の特徴であった.

結 論

TBX6 におけるまれなヌル変異と低形質アレルの複合遺伝は,われわれが解析した集団における先天性側弯症症例の最大 11%を占めていた.(中国国家重点基礎研究発展計画ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 341 - 50. )