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February 19, 2015 Vol. 372 No. 8

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フランベジアに対するアジスロマイシン単回投与による集団治療
Mass Treatment with Single-Dose Azithromycin for Yaws

O. Mitjà and Others

背景

フランベジア根絶に向けた世界保健機関(WHO)による新たな戦略において,アジスロマイシンによる集団治療は中心的要素である.世界規模で実施するための前提条件として,この戦略の有効性に関する実証的データが必要である.

方 法

フランベジアが風土病であるパプアニューギニアの 1 つの島において,アジスロマイシンによる集団治療の実施前と,実施から 6 ヵ月後,12 ヵ月後に,活動性フランベジアの臨床調査,潜在性フランベジアの血清学的調査,そして皮膚潰瘍の原因の特定とマクロライド耐性変異の同定のための分子解析を複数回行った.集団全体での血清学的に確認された活動性感染性フランベジアの有病率と,1~15 歳の小児のサブグループにおける,高力価の血清反応を示す潜在性フランベジアの有病率を主要転帰の評価指標とした.

結 果

ベースラインに,住民 16,092 人中 13,302 人(82.7%)がアジスロマイシンの経口投与を 1 回受けた.活動性感染性フランベジアの有病率は,集団治療実施前の 2.4%から,実施後 12 ヵ月の時点では 0.3%に低下した(差 2.1 パーセントポイント,P<0.001).小児における高力価の潜在性フランベジアの有病率は 18.3%から 6.5%に低下し(差 11.8 パーセントポイント,P<0.001),1~5 歳の小児では高力価の血清反応がほぼ消失した.投与後 1 週間以内に有害事象が発現したのは参加者の約 17%であり,内訳は悪心,下痢,嘔吐などで,すべて軽度であった.梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の亜種 pertenue に,マクロライド耐性の出現を示すエビデンスはみられなかった.

結 論

活動性/潜在性フランベジア感染の有病率は,広範囲を対象としたアジスロマイシンの集団投与後 12 ヵ月のうちに迅速かつ大幅に低下した.この低下はおそらく,フランベジアの新規症例を同定し治療するその後の活動によって促進されたものである.今回の研究の結果から,フランベジア根絶に向けた WHO のこの戦略は支持される.(Newcrest Mining 社,International SOS 社から研究助成を受けた.YESA-13 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01955252)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 703 - 10. )