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February 19, 2015 Vol. 372 No. 8

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HER2 陽性転移性乳癌に対するペルツズマブ,トラスツズマブ,ドセタキセル
Pertuzumab, Trastuzumab, and Docetaxel in HER2-Positive Metastatic Breast Cancer

S.M. Swain and Others

背景

ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陽性の転移性乳癌患者に対し,第一選択としてペルツズマブ,トラスツズマブ,ドセタキセルを投与した場合,プラセボ,トラスツズマブ,ドセタキセルを投与した場合と比較して,無増悪生存期間が有意に延長した.中間解析では,ペルツズマブにより,全生存期間は中央値未到達で,有意な改善が認められた.われわれは,事前に規定した,中央値 50 ヵ月の追跡調査による全生存解析の最終結果を報告する.

方 法

転移性乳癌を有し,転移性癌に対して過去に化学療法または抗 HER2 療法のいずれも受けていない患者を,ペルツズマブ併用投与群とプラセボ併用投与群に無作為に割り付けた.副次的評価項目である全生存,試験責任医師の判定による無増悪生存,独立判定委員会の判定による奏効期間,安全性について報告する.感度分析では,中間解析後にプラセボからペルツズマブにクロスオーバーした患者について補正を行った.

結 果

全生存期間中央値は,ペルツズマブ併用投与群 56.5 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 49.3~未到達)に対し,プラセボ併用投与群 40.8 ヵ月(95% CI 35.8~48.3)であり(プラセボ群に対しペルツズマブ群が良好であることを示すハザード比 0.68,95% CI 0.56~0.84,P<0.001),差は 15.7 ヵ月であった.この解析ではペルツズマブ群へのクロスオーバーについて補正していないため,結果は控えめであった.クロスオーバーについて補正後の感度分析の結果は一致していた.試験責任医師の判定による無増悪生存期間の中央値は,ペルツズマブ群で 6.3 ヵ月延長した(ハザード比 0.68,95% CI 0.58~0.80).ペルツズマブにより,独立判定委員会の判定による奏効期間の中央値は 7.7 ヵ月延長した.両群ともに,有害事象のほとんどはドセタキセルの投与期間中に発生し,心臓に対する長期安全性は維持された.

結 論

HER2 陽性転移性乳癌患者において,トラスツズマブ+ドセタキセルにペルツズマブを追加することで,プラセボを追加した場合と比較して,全生存期間の中央値は 56.5 ヵ月へと有意に延長し,この併用療法の有効性を示した先の解析の結果が拡張された.(F. Hoffmann–La Roche 社および Genentech 社から研究助成を受けた.CLEOPATRA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00567190)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 724 - 34. )