The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 26, 2015 Vol. 372 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ピーナッツアレルギーのリスクを有する乳児におけるピーナッツ摂取の無作為化試験
Randomized Trial of Peanut Consumption in Infants at Risk for Peanut Allergy

G. Du Toit and Others

背景

西洋諸国では,小児におけるピーナッツアレルギーの有病率が過去 10 年で倍増しており,ピーナッツアレルギーはアフリカやアジアでもみられるようになっている.われわれは,ピーナッツアレルギーのリスクが高い乳児におけるアレルギーの発症の予防には,ピーナッツを摂取する戦略と摂取を回避する戦略のどちらが有効であるかを明らかにするため,比較評価を行った.

方 法

重症湿疹,卵アレルギー,またはその両方を有する乳児 640 例を,生後 60 ヵ月まで,ピーナッツを摂取する群と,摂取を回避する群に無作為に割り付けた.参加者は生後 4 ヵ月以上 11 ヵ月未満であった.プリックテストを用いたピーナッツ抽出物に対する反応の有無に基づき,参加者を測定可能な膨疹が認められなかったコホートと,直径 1~4 mm の膨疹が認められたコホートに層別化し,その後無作為化した.主要評価項目は,生後 60 ヵ月の時点でピーナッツアレルギーを有する参加者の割合とし,各コホートで独立に評価した.

結 果

ベースラインでプリックテスト陰性であった intention-to-treat 集団の 530 例では,生後 60 ヵ月の時点でのピーナッツアレルギー有病率は,摂取回避群 13.7%,摂取群 1.9%であった(P<0.001).ベースラインでプリックテスト陽性であった intention-to-treat 集団の 98 例では,有病率は,摂取回避群 35.3%,摂取群 10.6%であった(P=0.004).重篤な有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.ピーナッツ特異的 IgG4 抗体価の上昇は主に摂取群で認められ,摂取回避群では多くの参加者でピーナッツ特異的 IgE 抗体価の上昇が認められた.プリックテストでの膨疹がより大きいことと,ピーナッツ特異的 IgG4/IgE 比がより小さいことが,ピーナッツアレルギーの発症に関連した.

結 論

ピーナッツアレルギーのリスクが高い児において,ピーナッツ摂取の早期開始により,アレルギーの発症頻度が有意に低下し,ピーナッツに対する免疫応答が調節された.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00329784)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 803 - 13. )