The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 17, 2015 Vol. 373 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

アフリカの新生児に対するフィルター透過太陽光を用いた光線療法の無作為化試験
A Randomized Trial of Phototherapy with Filtered Sunlight in African Neonates

T.M. Slusher and Others

背景

重症新生児高ビリルビン血症の後遺症は,有効な従来の光線療法を利用できない地域では大きな疾病負担となっている.われわれは以前に,光線療法の実施を目的としてフィルター透過太陽光を用いたところ,総ビリルビンを低下させるのに安全かつ有効であることを明らかにした.しかし,この方法を従来の光線療法と比較した場合の相対的な安全性と有効性は明らかにされていない.

方 法

ナイジェリア都市部の大規模産科病院において,正期産児・後期早産児の高ビリルビン血症の治療として,フィルター透過太陽光を従来の光線療法と比較する無作為化対照非劣性試験を行った.有効性を主要評価項目とし,その定義は,生後 72 時間以内の乳児については血清総ビリルビンの上昇率が 1 時間あたり 0.2 mg/dL 未満であること,光線療法を 5 時間以上受け,生後 72 時間を過ぎている乳児については,血清総ビリルビンが低下することとした.群間の有効率の差 10%を非劣性マージンと事前に規定した.交換輸血の必要性を副次的評価項目とした.安全性についても評価を行い,その定義は,高体温,低体温,脱水,日焼けによる治療中止の必要性がないこととした.

結 果

447 例を登録し,224 例をフィルター透過太陽光群,223 例を従来の光線療法群に無作為に割り付けた.フィルター透過太陽光群では,評価しえた治療期間の 93%で有効であったのに対し,従来の光線療法群では 90%であり,平均放射照度は,フィルター透過太陽光群のほうが高かった(40μW/cm2/nm 対 17μW/cm2/nm,P<0.001).体温が 38.0℃を超えた割合はフィルター透過太陽光群 5%,従来の光線療法群 1%であったが(P<0.001),安全性の理由による試験中止基準を満たした例や,交換輸血を必要とした例はいなかった.

結 論

フィルター透過太陽光は,新生児高ビリルビン血症の治療として,従来の光線療法と比較して非劣性であり,安全性の理由により試験中止にいたることはなかった.(スラッシャー研究基金 [ソルトレークシティ],米国国立衛生研究所 国立先進トランスレーショナル科学センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01434810)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1115 - 24. )