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July 9, 2015 Vol. 373 No. 2

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大腿膝窩動脈疾患に対するパクリタキセル被覆バルーンに関する試験
Trial of a Paclitaxel-Coated Balloon for Femoropopliteal Artery Disease

K. Rosenfield and Others

背景

末梢動脈疾患の経皮経管的血管形成術による治療は,血管の収縮により再狭窄をきたすため,有効性は限られている.薬剤被覆血管形成バルーンは,細胞増殖阻害薬を動脈に直接送達するため,再狭窄の発生を抑制し,血管開存性を改善する可能性がある.

方 法

54 施設で実施した単盲検無作為化試験において,中等度/重度の間欠性跛行,または安静時の虚血性疼痛を有し,血管造影上重要なアテローム性病変を認める患者 476 例を,パクリタキセル被覆バルーンにより血管形成術を行う群と,標準的バルーンにより血管形成術を行う群に 2:1 の割合で割り付けた.主要有効性評価項目は,12 ヵ月の時点での標的血管の主要開存(再狭窄が存在しないこと,および標的血管の血行再建を必要としないことと定義)とした.主要安全性エンドポイントは,周術期全死因死亡がないこと,12 ヵ月の時点で患肢関連死亡(すなわち患肢に関連する内科的合併症による死亡),下肢切断,再介入がないことの複合とした.

結 果

両群の患者背景はマッチしており,42.9%が糖尿病,34.7%が現在喫煙者であった.12 ヵ月の時点で,血管形成術に薬剤被覆バルーンを用いた患者の標的血管主要開存率は,従来のバルーンを用いた患者と比較して優れていた(65.2% 対 52.6%,P=0.02).主要安全性イベントが発生しなかった患者の割合は,薬剤被覆バルーン群 83.9%,標準的バルーン群 79.0%であった(非劣性について P=0.005).機能的転帰,死亡率,下肢切断率,血栓症発生率,再介入率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

大腿膝窩動脈の症候性末梢動脈疾患の患者において,パクリタキセル被覆バルーンによる経皮経管的血管形成術の 12 ヵ月の時点での標的血管主要開存率は,標準的バルーンによる血管形成術と比較して高かった.薬剤被覆バルーンによる血管形成術は,安全性に関して,標準的バルーンによる血管形成術と比較して非劣性であった.(Lutonix–Bard 社から研究助成を受けた.LEVANT 2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01412541)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 145 - 53. )