November 19, 2015 Vol. 373 No. 21
出血リスクが高い患者におけるポリマー不使用の薬剤被覆冠動脈ステント
Polymer-free Drug-Coated Coronary Stents in Patients at High Bleeding Risk
P. Urban and Others
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者で出血リスクの高い例に対しては,ベアメタルステントを留置し,その後 1 ヵ月間抗血小板薬 2 剤併用療法を行うことが多い.高親油性のシロリムス類似体ウミロリムス(umirolimus)(バイオリムス [biolimus] A9 としても知られている)を 1 ヵ月かけて血管壁に届ける,ポリマー不使用・キャリア不使用の薬剤被覆ステントについて検討した.
無作為化二重盲検試験で,PCI を受ける患者で出血リスクの高い例を対象に,薬剤被覆ステントと,酷似したベアメタルステントとを比較した.全例に抗血小板薬 2 剤併用療法を 1 ヵ月間行った.主要安全性エンドポイントは,心臓死,心筋梗塞,ステント血栓症の複合とし,非劣性と優越性の両方を検証することとした.主要有効性エンドポイントは,臨床所見に基づく標的病変血行再建とした.
2,466 例を登録した.390 日の時点で,主要安全性エンドポイントは,薬剤被覆ステント群の 112 例(9.4%),ベアメタルステント群の 154 例(12.9%)で発生した(リスク差 -3.6 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -6.1~-1.0,非劣性について P<0.001;ハザード比 0.71,95% CI 0.56~0.91,優越性について P=0.005).同じ期間で,臨床所見に基づく標的病変血行再建は,薬剤被覆ステント群の 59 例(5.1%),ベアメタルステント群の 113 例(9.8%)で必要となった(リスク差 -4.8 パーセントポイント,95% CI -6.9~-2.6,ハザード比 0.50,95% CI 0.37~0.69,P<0.001).
出血リスクの高い患者に対する PCI において,ポリマー不使用のウミロリムス被覆ステントは,1 ヵ月間の抗血小板薬 2 剤併用療法とともに用いた場合,主要安全性エンドポイント,有効性エンドポイントについてベアメタルステントに対する優越性が認められた.(Biosensors Europe 社から研究助成を受けた.LEADERS FREE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01623180)