November 19, 2015 Vol. 373 No. 21
RS ウイルス実験感染試験における経口 ALS-008176 の活性
Activity of Oral ALS-008176 in a Respiratory Syncytial Virus Challenge Study
J.P. DeVincenzo and Others
RS ウイルス(RSV)感染は,相当数の疾患と死亡を引き起こしている.有効な治療は明らかにされていない.
RSV を接種した健常成人を対象とした無作為化二重盲検臨床試験において,RSV 感染確認後 12 時間または接種後 6 日の時点で,経口ヌクレオシドアナログ ALS-008176 またはプラセボを投与した.投与は 12 時間ごとに 5 日間行った.ウイルス量,疾患重症度,耐性,安全性の測定を接種前に開始し,28 日間の試験期間を通して測定した.主要評価項目は,RSV 感染が確認された被験者における,初回投与直前から接種後 12 日目まで評価したウイルス量の曲線下面積(AUC)とした.
62 例がプラセボ投与,または ALS-008176 投与を次の 3 つのレジメンのいずれかで受けた:負荷用量 750 mg を 1 回,維持用量 500 mg を 9 回投与するレジメン(1 群),負荷用量 750 mg を 1 回,維持用量 150 mg を 9 回投与するレジメン(2 群),375 mg を 10 回投与するレジメン(3 群).感染が確認された 35 例(うち 23 例に ALS-008176 を投与)において,1 群,2 群,3 群,プラセボ群のウイルス量の AUC は,それぞれ 59.9,73.7,133.4,500.9 log10 プラーク形成単位等量×時間/mL であった(P≦0.001).ALS-008176 を投与した 3 群ではプラセボ群よりも,ポリメラーゼ連鎖反応解析で非検出になるまでの時間(P<0.001),ウイルス量のピーク値(P≦0.001),症状スコアの AUC(P<0.05),粘液量の AUC が低かった.抗ウイルス活性は負荷投与を行った 2 群で高く,プラセボ群と比較してウイルスの排除が加速され(P≦0.05),ウイルス量の AUC はプラセボ群と比較して 85~88%低下した.この小規模試験では,ウイルスの再燃も耐性も確認されなかった.重篤な有害事象は認められず,試験薬の早期中止が必要になることはなかった.
この RSV 実験感染試験において,ALS-008176 投与群ではプラセボ群と比較して,臨床疾患の重症度の改善を伴う,ウイルスのより迅速な排除と,ウイルス量のより大きな低下が認められた.(Alios BioPharma 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02094365)