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July 16, 2015 Vol. 373 No. 3

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ホルモン受容体陽性進行乳癌に対するパルボシクリブ
Palbociclib in Hormone-Receptor–Positive Advanced Breast Cancer

N.C. Turner and Others

背景

ホルモン受容体陽性乳癌の増殖は,細胞周期の G1 期から S 期への移行を促進するサイクリン依存性キナーゼ 4, 6(CDK4, CDK6)に依存する.われわれは,進行乳癌に対するパルボシクリブ(palbociclib)(CDK4/CDK6 阻害薬)と,フルベストラントの併用療法の有効性を評価した.

方 法

ホルモン受容体陽性,ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陰性の進行乳癌で,過去の内分泌療法中に再発または進行が認められた女性患者 521 例を対象に第 3 相試験を行った.患者を,パルボシクリブとフルベストラントを投与する群と,プラセボとフルベストラントを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.閉経前または閉経周辺期の患者にはゴセレリンも投与した.主要評価項目は,試験医師の評価による無増悪生存期間とした.副次的評価項目は,全生存期間,客観的奏効,臨床的有用性,患者の報告による転帰,安全性などとした.事前に計画した中間解析は,病勢進行または死亡が 195 件発生した時点で,独立データ安全性モニタリング委員会が行った.

結 果

無増悪生存期間中央値は,パルボシクリブ+フルベストラント群 9.2 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 7.5~推定不能),プラセボ+フルベストラント群 3.8 ヵ月(95% CI 3.5~5.5)であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.42,95% CI 0.32~0.56,P<0.001).パルボシクリブ+フルベストラント群で頻度の高かったグレード 3 または 4 の有害事象は,好中球減少(62.0% 対 プラセボ+フルベストラント群 0.6%),白血球減少(25.2% 対 0.6%),貧血(2.6% 対 1.7%),血小板減少(2.3% 対 0%),疲労(2.0% 対 1.2%)であった.発熱性好中球減少症はパルボシクリブ投与例の 0.6%,プラセボ投与例の 0.6%で報告された.有害事象により投与中止にいたった患者の割合は,パルボシクリブ群 2.6%,プラセボ群 1.7%であった.

結 論

ホルモン受容体陽性の転移性乳癌で,過去の内分泌療法中に病勢進行が認められた患者では,フルベストラントにパルボシクリブを併用することで,フルベストラント単独と比較して,無増悪生存期間が延長した.(Pfizer 社から研究助成を受けた.PALOMA3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01942135)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 209 - 19. )