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December 10, 2015 Vol. 373 No. 24

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葉間側副換気のない肺気腫に対する気管支閉塞用バルブ
Endobronchial Valves for Emphysema without Interlobar Collateral Ventilation

K. Klooster and Others

背景

一方向性の気管支閉塞用バルブを用いた気管支鏡下肺容量減少療法は,重症肺気腫患者の治療法として有望である.今日までに,わずかな有益性が示されているが,葉間側副換気がある患者より,ない患者のほうが有益性が高いという仮説が立てられている.

方 法

側副換気がないことが確認された重症肺気腫患者を,気管支鏡下気管支閉塞用バルブ治療(EBV 群)と標準的内科治療継続(対照群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は 1 秒量(FEV1),努力肺活量(FVC),6 分間歩行距離の,ベースラインから 6 ヵ月までの変化とした.

結 果

84 例を募集した.そのうち側副換気があった 13 例と,肺葉区域に気管支閉塞用バルブが到達できなかった 3 例の計 16 例が除外された.残りの 68 例(年齢の平均 [±SD]:59±9 歳,女性 46 例)を,EBV 群(34 例),対照群(34 例)に無作為に割り付けた.ベースラインの FEV1 と FVC は,それぞれ予測値の 29±7%と 77±18%であり,6 分間歩行距離は 374±86 m であった.intention-to-treat 解析では,ベースラインから 6 ヵ月までに,EBV 群では対照群と比較して有意に大きな改善が認められ,FEV1 は 140 mL(95%信頼区間 [CI] 55~225)増加し,FVC は 347 mL(95% CI 107~588)増加し,6 分間歩行距離は 74 m(95% CI 47~100)延長した(すべての比較について P<0.01).6 ヵ月までに,重篤な有害事象は対照群では 5 件報告されたのに対し,EBV 群では 23 件報告された(P<0.001).EBV 群では 1 例が死亡した.EBV 群で発現した重篤な治療関連有害事象として,気胸(患者の 18%),バルブの置換(12%)または除去(15%)を必要とするイベントなどがあった.

結 論

気管支閉塞用バルブ治療は,葉間側副換気がない重症肺気腫患者の肺機能と運動耐容能を有意に改善した.(オランダ健康研究開発機構,フローニンゲン大学医療センターから研究助成を受けた.Netherlands Trial Register 番号 NTR2876)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2325 - 35. )