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July 23, 2015 Vol. 373 No. 4

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非ヒト霊長類とヒトにおけるマールブルグウイルスに対する AVI-7288
AVI-7288 for Marburg Virus in Nonhuman Primates and Humans

A.E. Heald and Others

背景

AVI-7288 は,マールブルグウイルス(MARV)の核蛋白をコードするウイルスメッセンジャー RNA を標的とする正電荷を帯びたホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーである.AVI-7288 のヒトにおける安全性は明らかにされていない.

方 法

AVI-7288 の有効性を,非ヒト霊長類における MARV への致死的実験感染を含む一連の試験により評価した.AVI-7288 の安全性は,健常なヒト 40 例(各用量につき 8 例)を対象とした無作為化反復投与用量漸増試験において,AVI-7288 (1 mg,4 mg,8 mg,12 mg,16 mg/kg 体重)点滴静注を 1 日 1 回,14 日間行う群と,プラセボ投与群に 3:1 の割合で割り付け評価した.ヒトで感染防御効果が得られる用量を,感染した非ヒト霊長類,感染していない非ヒト霊長類,感染していないヒトで薬物動態パラメータを比較して推定した.

結 果

感染した非ヒト霊長類における生存率は用量依存的であり,AVI-7288 0 mg,3.75 mg,7.5 mg,15 mg,20 mg,30 mg/kg を投与したサルで,それぞれ 0%,30%,59%,87%,100%,100%であった(全群の生存率の比較に log-rank 検定を用いた場合 P<0.001).ヒトにおいて,最大 16 mg/kg/日の用量では,安全性の問題は確認されなかった.重篤な有害事象は報告されなかった.薬物曝露量(薬物血中濃度–時間曲線下面積)は,非ヒト霊長類,ヒトともに用量依存的であった.薬物クリアランスは用量に依存しなかったが,非ヒト霊長類のほうがヒトよりも高かった.ヒトで感染防御効果が得られる用量は,最初は薬物曝露量に基づき,9.6 mg/kg/日(95%信頼区間 6.6~12.5),14 日間と推定された.モンテカルロ法を用いると,非ヒト霊長類での幾何平均防御薬物曝露にマッチさせるために,11 mg/kg/日が支持された.

結 論

この試験は,非ヒト霊長類での有効性と,ヒトでの薬物動態データに基づき,AVI-7288 がヒトにおける MARV 感染に対して,曝露後の予防薬となる可能性があることを示している.(米国国防総省から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01566877)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 339 - 48. )