The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 30, 2015 Vol. 373 No. 5

腱鞘巨細胞腫に対する CSF1R キナーゼの構造に基づく阻害
Structure-Guided Blockade of CSF1R Kinase in Tenosynovial Giant-Cell Tumor

W.D. Tap and Others

背景

腱鞘巨細胞腫のほとんどで,コロニー刺激因子 1(CSF1)遺伝子の発現上昇が認められる.この観察結果から,CSF1 受容体(CSF1R)を標的とする治療薬が発見され,臨床開発が進んでいる.

方 法

X 線共結晶構造解析を用いて創薬研究を進め,CSF1R キナーゼを自己阻害構造に閉じ込める,強力な選択的 CSF1R 阻害薬 PLX3397 を創出した.この化合物を解析するため,2 部構成の多施設共同第 1 相試験を行った.第 1 部では,固形癌を有する患者に PLX3397 を経口投与し,用量の漸増を検討した(用量漸増試験).第 2 部では,第 2 相試験の用量として選択された用量を,腱鞘巨細胞腫患者のコホートで評価した(延長試験).登録された患者における薬物動態と腫瘍反応を評価し,PLX3397 の作用機序を確認し,CSF1 の発現パターンが腱鞘巨細胞腫の病理学的特徴と一致するかどうかを確認するため,CSF1 の in situ ハイブリダイゼーションを行った.

結 果

用量漸増試験には 41 例を登録し,延長試験には 23 例を登録した.PLX3397 の第 2 相試験の用量として選択されたのは 1,000 mg/日であった.腱鞘巨細胞腫患者を対象とした延長試験では,12 例で部分奏効,7 例で病勢安定が得られた.ほとんどの例で効果は治療開始後 4 ヵ月以内に現れ,奏効期間中央値は 8 ヵ月を超えた.頻度の高かった有害事象は,疲労,毛髪変色,悪心,味覚異常,眼窩周囲浮腫などであった.有害事象により治療中止にいたった例はまれであった.

結 論

腱鞘巨細胞腫に対する PLX3397 投与により,患者の大多数で長期にわたる腫瘍縮小が得られた.(Plexxikon 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01004861)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 428 - 37. )