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August 27, 2015 Vol. 373 No. 9

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アフリカにおける早期抗レトロウイルス療法とイソニアジド予防療法に関する試験
A Trial of Early Antiretrovirals and Isoniazid Preventive Therapy in Africa

The TEMPRANO ANRS 12136 Study Group

背景

サハラ以南のアフリカでは,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連結核の負担が大きい.コートジボワールにおいて,HIV に感染し,CD4 陽性細胞数が多い成人を対象に,早期に開始する抗レトロウイルス療法(ART)と,6 ヵ月間のイソニアジド結核予防療法(IPT)を併用することの利益を評価するために,2×2 要因デザインの試験を行った.

方 法

CD4 陽性細胞数が 800/mm3 未満で,世界保健機関(WHO)のガイドラインにおける ART 開始の基準を満たしていない HIV 1 型感染者を参加者に組み入れた.参加者を,ART 待機群(WHO の基準に従って ART 開始),ART 待機+IPT 群,早期 ART 群(ART 即時開始),早期 ART+IPT 群の 4 つの治療群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,30 ヵ月の時点における後天性免疫不全症候群(AIDS)指標疾患,非 AIDS 指標悪性腫瘍,非AIDS 指標侵襲性細菌性疾患,全死因死亡の複合とした.ART 待機戦略と早期 ART 戦略,および IPT 併用戦略と IPT 非併用戦略の転帰の比較には,Cox 比例ハザードモデルを用いた.

結 果

対象は 2,056 例(ベースラインの CD4 陽性細胞数が 500/mm3 以上であった感染者の割合は 41%),追跡期間は 4,757 患者年であった.主要エンドポイントのイベントは 204 件観察され(100 人年あたり 3.8 件,95%信頼区間 [CI] 3.3~4.4),このうちベースラインの CD4 陽性細胞数が 500/mm3 以上であった感染者で観察されたのは 68 件であった(100 人年あたり 3.2 件,95% CI 2.4~4.0).結核と侵襲性細菌性疾患は,主要エンドポイントのイベントのそれぞれ 42%と 27%を占めていた.死亡または HIV 関連重症疾患のリスクは,早期 ART 群のほうが ART 待機群よりも低く(補正ハザード比 0.56,95% CI 0.41~0.76;ベースラインの CD4 陽性細胞数が 500/mm3 以上であった感染者における補正ハザード比 0.56,95% CI 0.33~0.94),また IPT 併用群のほうが IPT 非併用群よりも低かった(補正ハザード比 0.65,95% CI 0.48~0.88;ベースラインの CD4 陽性細胞数が 500/mm3 以上であった感染者における補正ハザード比 0.61,95% CI 0.36~1.01).30 ヵ月の時点でグレード 3 または 4 の有害事象が認められる確率に,各治療戦略で有意差は認められなかった.

結 論

アフリカのこの国では,HIV 感染者における重症疾患の発症率は,ART を早期に開始し,6 ヵ月間の IPT を併用した場合のほうが,ART を待機し,IPT を併用しなかった場合と比較して,感染者全体においても,CD4 陽性細胞数が 500/mm3 以上であった感染者においても,低かった.(フランス国立 AIDS・ウイルス性肝炎研究機関から研究助成を受けた.TEMPRANO ANRS 12136 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00495651)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 808 - 22. )