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September 3, 2015 Vol. 373 No. 10

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骨髄線維症に対するテロメラーゼ阻害薬イメテルスタットの予備的研究
A Pilot Study of the Telomerase Inhibitor Imetelstat for Myelofibrosis

A. Tefferi and Others

背景

骨髄増殖性腫瘍の一つである骨髄線維症に対しては,現在ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬などの治療薬が存在するが,完全寛解も部分寛解も得られない.イメテルスタット(imetelstat)は,ヒトテロメラーゼ逆転写酵素の RNA テンプレートを標的とする,13 塩基長の脂質結合オリゴヌクレオチドである.

方 法

この研究の目的は,高リスクまたは中間-2 リスクの骨髄線維症患者におけるイメテルスタットの治療活性と安全性について,予備的情報を収集することである.イメテルスタットの投与法は 2 時間の点滴静注とし(9.4 mg/kg 体重から開始),1~3 週間ごとに行った.主要評価項目は全寛解率とし,副次的評価項目は有害事象,脾臓の縮小,赤血球輸血非依存性とした.

結 果

33 例(年齢中央値 67 歳)が適格基準を満たした.48%には JAK 阻害薬による治療歴があった.7 例(21%)で完全寛解または部分寛解が得られ,寛解期間中央値は完全寛解例で 18 ヵ月(13~20 以上),部分寛解例で 10 ヵ月(7~10 以上)であった.完全寛解が得られた 4 例全例で骨髄線維症が改善し,4 例中 3 例では分子遺伝学的寛解であった.寛解率は,JAK2 変異陽性例では 27%であったのに対し,陰性例では 0%であり(P=0.30),ASXL1 変異陰性例では 32%であったのに対し,陽性例では 0%であった(P=0.07).完全寛解率は,SF3B1 または U2AF1 の変異陽性例では 38%であったのに対し,変異陰性例では 4%であった(P=0.04).寛解と,ベースラインのテロメア長とのあいだに相関は認められなかった.治療関連有害事象は,グレード 4 の血小板減少(患者の 18%に発現),グレード 4 の好中球減少(12%),グレード 3 の貧血(30%),グレード 1 または 2 の総ビリルビン上昇(12%),アルカリホスファターゼ上昇(21%),アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(27%)などであった.

結 論

イメテルスタットは,骨髄線維症患者に対して活性を示すことが明らかになったが,臨床的に重要な骨髄抑制を引き起こす可能性もあった.(Geron 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01731951)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 908 - 19. )