April 14, 2016 Vol. 374 No. 15
進行頭頸部癌に対する PET-CT による経過観察と頸部郭清術との比較
PET-CT Surveillance versus Neck Dissection in Advanced Head and Neck Cancer
H. Mehanna and Others
頭頸部扁平上皮癌を有し,一次治療として化学放射線療法を受けており,リンパ節転移進行(ステージ N2 または N3)を認める患者に対して,エビデンスが不十分なまま計画的頸部郭清術が行われており,画像を用いた経過観察の有用性が議論されている.
前向き無作為化比較対照試験において,ステージ N2 または N3 のリンパ節転移を有する患者を対象に,PET-CT による経過観察(化学放射線療法終了後 12 週で PET-CT を施行し,不完全奏効または効果判定不能であった場合にのみ頸部郭清術を施行する)の,計画的頸部郭清術に対する非劣性を評価した.主要評価項目は全生存率とした.
2007~12 年に,英国の 37 施設で 564 例(計画的手術群 282 例,経過観察群 282 例)を登録した.そのうちステージ N2a リンパ節転移は 17%,ステージ N2b リンパ節転移は 61%であった.84%が中咽頭癌であり,腫瘍組織検体が得られた患者のうち 75%が,癌の原因に寄与するヒトパピローマウイルスの存在を示す,p16 蛋白免疫染色陽性であった.追跡期間中央値は 36 ヵ月であった.PET-CT 経過観察群で行われた頸部郭清術は,計画的手術群と比較して少なく(54 例 対 221 例),両群の手術合併症の発生率は同程度であった(それぞれ 42%と 38%).2 年全生存率は,経過観察群が 84.9%(95%信頼区間 [CI] 80.7~89.1),計画的手術群が 81.5%(95% CI 76.9~86.3)であった.死亡のハザード比から PET-CT 経過観察群の,計画的手術群に対する優越性が示され,PET-CT 経過観察群の非劣性が示された(ハザード比の 95% CI の上限<1.50,P=0.004).p16 発現に群間で有意差は認められなかった.QOL スコアは両群で同程度であった.PET-CT による経過観察は,計画的頸部郭清術と比較して,試験期間中に 1 人あたり 1,492 ポンド(約 2,190 米ドル)の節約となった.
PET-CT による経過観察を受けた患者と計画的頸部郭清術を受けた患者とで生存率は同程度であったが,経過観察群のほうが手術件数が大幅に少なく,費用対効果が高かった.(英国国立健康研究所 医療技術評価プログラム,キャンサーリサーチ UK から研究助成を受けた.PET-NECK 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN13735240)