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April 28, 2016 Vol. 374 No. 17

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MVA による追加免疫を行う 1 価のチンパンジーアデノウイルスエボラワクチン
A Monovalent Chimpanzee Adenovirus Ebola Vaccine Boosted with MVA

K. Ewer and Others

背景

西アフリカにおけるエボラウイルス病の流行は 2014 年にピークに達し,死者は 11,000 人を超えた.今後の流行を制御するうえで,有効なエボラワクチンの開発は優先事項である.

方 法

英国オックスフォードの健常成人ボランティア 60 例を対象に,Zaire ebolavirus(ZEBOV)の表面糖蛋白をコードするチンパンジーアデノウイルス 3 型(ChAd3)ワクチン単回接種の第 1 相試験を行った.投与量はウイルス粒子 1×1010 個,2.5×1010 個,5×1010 個とし,それぞれ 20 例に接種した.続いて,60 例中 30 例で,同一のエボラウイルス糖蛋白をコードする修飾ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)株による追加免疫の効果を評価した.さらに別の 16 例で,初回免疫と追加免疫の間隔を短縮して評価した.また,エボラウイルスの不活化全粒子に対する抗体反応と中和抗体活性を,ZEBOV 糖蛋白を発現する組換え水疱性口内炎ウイルス(rVSV)をベースにしたワクチン(rVSV-ZEBOV)の第 1 相試験で観察された結果と比較し,相対的な効力を明らかにし,持続性を評価した.

結 果

いずれの投与量でも安全性に対する懸念は認められなかった.ChAd3 ワクチン接種の 4 週間後,ZEBOV 特異的抗体応答は,rVSV-ZEBOV ワクチン接種に誘導される抗体反応と同程度であり,幾何平均抗体価は ChAd3 ワクチンが 752,rVSV-ZEBOV ワクチンが 921 であった.ZEBOV 中和活性も同程度であった(幾何平均抗体価は ChAd3 ワクチン 14.9,rVSV-ZEBOV ワクチン 22.2).MVA ベクターによる追加免疫によって,ウイルス特異的抗体は 12 倍に増加し(幾何平均抗体価 9,007),糖蛋白特異的 CD8+ T 細胞は 5 倍に増加した.追加免疫を行った 30 例全例で中和抗体の有意な増加がみられた(幾何平均抗体価 139,P<0.001).ChAd3 で初回免疫を受けた被験者のウイルス特異的抗体応答は接種後 6 ヵ月の時点でも陽性であったが(幾何平均抗体価 758),MVA で追加免疫を受けた被験者のほうが有意に高かった(幾何平均抗体価 1,750,P<0.001).

結 論

MVA による追加免疫を行う ChAd3 ワクチンは,ChAd3 ワクチン単回接種と比較して,ZEBOV に対する B 細胞と T 細胞の免疫反応の誘発に優れていた.(ウェルカムトラストほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02240875)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1635 - 46. )