April 28, 2016 Vol. 374 No. 17
アフリカと欧州における rVSV エボラワクチンの第 1 相試験
Phase 1 Trials of rVSV Ebola Vaccine in Africa and Europe
S.T. Agnandji and Others
Zaire ebolavirus(ZEBOV)糖蛋白を発現する,複製能を有する組換え水疱性口内炎ウイルス(rVSV)をベースにしたワクチン(rVSV-ZEBOV)が,西アフリカでの使用に先立ち迅速な安全性,免疫原性の評価対象となった.
欧州とアフリカの健常成人 158 例を対象に,異なる投与量の rVSV-ZEBOV の安全性,副反応プロファイル,免疫原性を評価するため,非盲検用量漸増第 1 相試験 3 件,無作為化二重盲検プラセボ対照第 1 相試験 1 件を行った.被験者全例に,30 万~5,000 万プラーク形成単位(PFU)のワクチンまたはプラセボを接種した.
重篤なワクチン関連有害事象は報告されなかった.軽度~中等度の副反応が早期に発現する頻度が高かったが,一過性であった(中央値 1 日).発熱が認められた割合は,もっとも多かった試験で 30%であった.300 万 PFU 以上のワクチンを接種した 130 例のうち,123 例(95%)で接種後 3 日以内にワクチンウイルス血症が検出されたが,唾液中および尿中に rVSV は検出されなかった.接種後 2 週目に,1~4 ヵ所の関節炎をジュネーブの被験者では 51 例中 11 例(22%)が発症し,疼痛の持続期間中央値は 8 日(四分位範囲 4~87)であり,ハンブルク(ドイツ)およびキリフィ(ケニア)の被験者では,60 例中 2 例(3%)に自然軽快する関節炎が認められた.ワクチンを接種した 1 例の関節穿刺液と,別の 2 例の皮膚水疱でウイルスが同定され,接種後 2 週目に末梢血中でウイルスが複製されていることが示された.ZEBOV 糖蛋白特異的抗体応答は全例で検出され,糖蛋白結合抗体価は同程度であったが,中和抗体価は高用量を接種した例で有意に高かった.糖蛋白結合抗体価は全例で 180 日間維持されていた.
rVSV-ZEBOV の単回接種により副反応がみられたが,免疫原性も認められた.安全性と有効性のさらなる評価が必要である.(ウェルカムトラストほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02283099,NCT02287480,NCT02296983,Pan African Clinical Trials Registry 番号 PACTR201411000919191)