フルチカゾン単独と比較したフルチカゾンとサルメテロールの併用に関連する重篤な喘息イベント
Serious Asthma Events with Fluticasone plus Salmeterol versus Fluticasone Alone
D.A. Stempel and Others
喘息治療における長時間作用型β刺激薬(LABA)の安全かつ適正な使用については,広く議論されている.2 件の大規模臨床試験で,LABA に関連して,重篤な喘息関連イベントのリスクが上昇する可能性が指摘されている.この試験は,LABA であるサルメテロールを,吸入ステロイド薬フルチカゾンプロピオン酸エステルと併用した場合のリスクを評価することを目的としてデザインされた.
多施設共同無作為化二重盲検試験において,思春期および成人の持続型喘息患者(12 歳以上)を,26 週間フルチカゾンとサルメテロールを併用投与する群と,フルチカゾンを単独投与する群に割り付けた.対象は,無作為化前の 1 年間に重度の喘息増悪を起こしているが,無作為化前の 1 ヵ月間には起こしていない患者とした.生命に関わる喘息または不安定な喘息の既往がある患者は試験から除外した.主要安全性エンドポイントは,重篤な喘息関連イベント(死亡,気管挿管,入院)の初回発生とした.フルチカゾン+サルメテロールのフルチカゾン単独に対する非劣性は,主要安全性エンドポイントのリスクの 95%信頼区間上限が 2.0 未満であれば検証されることとした.有効性エンドポイントは重度の喘息増悪の初回発生とした.
登録した 11,679 例中,67 例に 74 件の重篤な喘息関連イベントが発生した.内訳はフルチカゾン+サルメテロール群の 34 例で 36 件,フルチカゾン単独群の 33 例で 38 件であった.フルチカゾン+サルメテロール群における重篤な喘息関連イベントのハザード比は 1.03(95%信頼区間 [CI] 0.64~1.66)であり,非劣性が検証された(P=0.003).喘息に関連する死亡はなかったが,フルチカゾン単独群の 2 例が喘息に関連する気管挿管を受けた.重度の喘息増悪のリスクは,フルチカゾン+サルメテロール群のほうがフルチカゾン単独群よりも 21%低く(ハザード比 0.79,95% CI 0.70~0.89),重度の喘息増悪を 1 回以上起こした患者は,フルチカゾン+サルメテロール群では 5,834 例中 480 例(8%)であったのに対し,フルチカゾン単独群では 5,845 例中 597 例(10%)であった(P<0.001).
フルチカゾン+サルメテロールの固定用量配合剤を投与した患者では,フルチカゾンを単独で投与した患者と比較して,重篤な喘息関連イベントのリスクが有意に高いということはなかった.重度の喘息増悪は,フルチカゾン+サルメテロールを投与した患者のほうがフルチカゾンを単独で投与した患者よりも少なかった.(AUSTRI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01475721)