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January 7, 2016 Vol. 374 No. 1

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慢性移植片対宿主病の予防を目的とした抗リンパ球グロブリン
Antilymphocyte Globulin for Prevention of Chronic Graft-versus-Host Disease

N. Kröger and Others

背景

慢性移植片対宿主病(GVHD)は,同種造血幹細胞移植後晩期における合併症および死亡の主要な原因である.われわれは,急性白血病患者に対する骨髄破壊的前処置レジメンに抗ヒト T リンパ球免疫グロブリン(ATG)を含めることで,HLA 一致同胞からの同種末梢血幹細胞移植後 2 年の時点での慢性 GVHD が大幅に減少するという仮説を立てた.

方 法

前処置レジメンの一部としての ATG に関する前向き多施設共同非盲検無作為化第 3 相試験を行った.27 施設で 168 例を登録した.患者を,施設および疾患リスクで層別化し,ATG 投与群と非投与群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.

結 果

追跡期間中央値 24 ヵ月の時点で,慢性 GVHD の累積発生率は ATG 投与群 32.2%(95%信頼区間 [CI] 22.1~46.7),非投与群 68.7%(95% CI 58.4~80.7)であった(P<0.001).2 年無再発生存率は ATG 投与群と非投与群とで同程度であり(それぞれ 59.4% [95% CI 47.8~69.2] と 64.6% [95% CI 50.9~75.3],P=0.21),全生存率も同程度であった(それぞれ 74.1% [95% CI 62.7~82.5] と 77.9% [95% CI 66.1~86.1],P=0.46).再発,感染性合併症,急性 GVHD,有害事象の発生率に群間で有意差は認められなかった.2 年の時点での,慢性 GVHD のない生存および無再発生存から成る複合エンドポイントの発生率は,ATG 投与群のほうが非投与群よりも有意に高かった(36.6% 対 16.8%,P=0.005).

結 論

骨髄破壊的前処置レジメンに ATG を含めた場合,同種移植後の慢性 GVHD の発生率に,ATG を含めなかった場合と比較して有意な低下がもたらされた.生存率は 2 群で同程度であったが,慢性 GVHD のない生存および無再発生存から成る複合エンドポイントの発生率は,ATG を含めた場合のほうが高かった.(Neovii Biotech 社, 欧州血液骨髄移植学会から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00678275)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 43 - 53. )