November 10, 2016 Vol. 375 No. 19
再発頭頸部扁平上皮癌に対するニボルマブ
Nivolumab for Recurrent Squamous-Cell Carcinoma of the Head and Neck
R.L. Ferris and Others
プラチナ製剤による化学療法後に再発または転移した頭頸部扁平上皮癌患者は,非常に予後不良であり,治療選択肢が限られている.この病態に対する治療薬として,抗プログラム死 1(PD-1)モノクローナル抗体であるニボルマブを評価した.
無作為化非盲検第 3 相試験において,再発頭頸部扁平上皮癌に対するプラチナベース化学療法後 6 ヵ月以内に病勢進行が認められた 361 例を,ニボルマブ(3 mg/kg)を 2 週ごとに投与する群と,標準的な単剤全身療法(メトトレキサート,ドセタキセル,セツキシマブのいずれか)を施行する群に 2:1 の割合で割り付けた.主要エンドポイントは全生存期間とした.その他,無増悪生存期間,客観的奏効率,安全性,患者報告による QOL などをエンドポイントとした.
全生存期間中央値は,ニボルマブ群 7.5 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 5.5~9.1)に対し,標準療法群 5.1 ヵ月(95% CI 4.0~6.0)であった.全生存期間は,ニボルマブ群のほうが標準療法群よりも有意に長く(死亡のハザード比 0.70,97.73% CI 0.51~0.96,P=0.01),推定 1 年生存率は,ニボルマブ群のほうが標準療法群よりも約 19 パーセントポイント高かった(36.0% 対 16.6%).無増悪生存期間中央値は,ニボルマブ群 2.0 ヵ月(95% CI 1.9~2.1)に対し,標準療法群 2.3 ヵ月(95% CI 1.9~3.1)であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.89,95% CI 0.70~1.13,P=0.32).6 ヵ月無増悪生存率は,ニボルマブ群 19.7%に対し,標準療法群 9.9%であった.奏効率は,ニボルマブ群 13.3%に対し,標準療法群 5.8%であった.グレード 3 または 4 の治療関連有害事象の発現率は,ニボルマブ群 13.1%に対し,標準療法群 35.1%であった.身体機能,役割機能,社会的機能は,ニボルマブ群では変化はみられなかったが,標準療法群では有意に悪化した.
プラチナ抵抗性の再発頭頸部扁平上皮癌に対するニボルマブ投与により,標準的単剤療法と比較して全生存期間が延長した.(Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.CheckMate 141 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02105636)