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December 22, 2016 Vol. 375 No. 25

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幼児の急性中耳炎に対する抗菌薬投与期間の短縮
Shortened Antimicrobial Treatment for Acute Otitis Media in Young Children

A. Hoberman and Others

背景

急性中耳炎に罹患した児に対する抗菌薬投与期間の制限には,抗菌薬耐性のリスクを低減させる戦略の一つとしての可能性がある.

方 法

急性中耳炎に罹患した生後 6~23 ヵ月の児 520 例を,アモキシシリン+クラブラン酸を標準的な投与期間である 10 日間投与する群と,5 日間に短縮し,残り 5 日間はプラセボを投与する群に割り付けた.臨床反応率(徴候・症状の反応をもとに系統的に評価),再発率,鼻咽頭保菌率を評価し,エピソードの転帰を非劣性試験デザインにより解析した.症状スコアの範囲は 0~14 で,スコアが高いほど重症であることを示した.

結 果

アモキシシリン+クラブラン酸 5 日間投与群では,臨床的失敗が認められた患児の割合が 10 日間投与群より高かった(229 例中 77 例 [34%] 対 238 例中 39 例 [16%],差 17 パーセントポイント,95%信頼区間 9~25).6~14 日目の症状スコアの平均は 5 日間投与群が 1.61,10 日間投与群が 1.34 であり(P=0.07),12~14 日目のスコアの平均は 1.89 対 1.20 であった(P=0.001).ベースラインから投与終了時までに症状スコアが 50%を超えて低下した(重症度が低下したことを示す)患児の割合は,5 日間投与群のほうが 10 日間投与群より低かった(227 例中 181 例 [80%] 対 233 例中 211 例 [91%],P=0.003).再発率,有害事象の発現率,ペニシリン非感受性菌の鼻咽頭保菌率に群間で有意差は認められなかった.臨床的失敗率は,週に 10 時間以上 3 人以上の小児と接触した患児が,接触がそれよりも少なかった患児より高く(P=0.02),また,両耳感染例が,片耳感染例より高かった(P<0.001).

結 論

急性中耳炎に罹患した生後 6~23 ヵ月の児に対する抗菌薬投与期間の短縮により,標準期間投与した場合と比較して,好ましくない転帰が得られた.また,投与期間の短縮によって有害事象の発現率が低くなることも,抗菌薬耐性の出現率が低くなることもなかった.(米国国立アレルギー感染症研究所,米国国立研究資源センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01511107)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 2446 - 56. )