March 30, 2017 Vol. 376 No. 13
4 価 HPV ワクチン接種と有害な妊娠転帰のリスク
Quadrivalent HPV Vaccination and the Risk of Adverse Pregnancy Outcomes
N.M. Scheller and Others
4 価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは,9~26 歳の全女性に推奨される.妊娠初期に不注意で 4 価 HPV ワクチンを接種する例もあるが,そのような場合の安全性に関するデータはほとんど存在しない.
2006 年 10 月 1 日~2013 年 11 月 30 日に妊娠を終了したデンマークの女性全例から成るコホートを評価した.複数の全国登録を用いて,コホートの女性におけるワクチン接種,有害な妊娠転帰,可能性のある交絡因子に関する情報を結び付けた.事前に規定した期間にワクチンに曝露した女性と曝露していない女性とを傾向スコアによって 1:4 の割合でマッチさせた.転帰は,自然流産,死産,主要な先天異常,在胎期間に比して小さいこと(SGA),低出生体重,早産などとした.
マッチ解析では,4 価 HPV ワクチンへの曝露は,曝露していない場合と比較して,主要な先天異常(曝露した妊娠 1,665 件で 65 例,曝露しなかった妊娠 6,660 件で 220 例,有病オッズ比 1.19,95%信頼区間 [CI] 0.90~1.58),自然流産(曝露した妊娠 463 件で 20 例,曝露しなかった妊娠 1,852 件で 131 例,ハザード比 0.71,95% CI 0.45~1.14),早産(曝露した妊娠 1,774 件で 116 例,曝露しなかった妊娠 7,096 件で 407 例,有病オッズ比 1.15,95% CI 0.93~1.42),低出生体重(曝露した妊娠 1,768 件で 76 例,曝露しなかった妊娠 7,072 件で 277 例,有病オッズ比 1.10,95% CI 0.85~1.43),SGA(曝露した妊娠 1,768 件で 171 例,曝露しなかった妊娠 7,072 件で 783 例,有病オッズ比 0.86,95% CI 0.72~1.02),死産(曝露した妊娠 501 件で 2 例,曝露しなかった妊娠 2,004 件で 4 例,ハザード比 2.43,95% CI 0.45~13.21)のリスクが有意に高いことには関連しなかった.
妊娠中の 4 価 HPV ワクチン接種は,接種していない場合と比較して,有害な妊娠転帰のリスクが有意に高いことには関連しなかった.(Novo Nordisk 財団,デンマーク医学研究評議会から研究助成を受けた.)