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January 12, 2017 Vol. 376 No. 2

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中腸神経内分泌腫瘍に対する 177Lu-ドータテートの第 3 相試験
Phase 3 Trial of 177Lu-Dotatate for Midgut Neuroendocrine Tumors

J. Strosberg and Others

背景

中腸神経内分泌腫瘍に対する第一選択のソマトスタチンアナログ製剤による治療中に進行を認めた患者では,治療選択肢が限られている.この無作為化比較試験では,進行性のソマトスタチン受容体陽性中腸神経内分泌腫瘍患者において,ルテチウム-177(177Lu)-ドータテート(Dotatate)の有効性と安全性を評価した.

方 法

高分化型の転移性中腸神経内分泌腫瘍患者 229 例を,177Lu-ドータテート 7.4 GBq を 8 週ごとに投与する群(116 例)(点滴静注で 4 回と,最善の支持療法としてオクトレオチド LAR 用量 30 mg の筋注などを行う)(177Lu-ドータテート群)と,オクトレオチド LAR 用量 60 mg の筋注のみを 4 週ごとに行う群(113 例)(対照群)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存とした.副次的エンドポイントは客観的奏効率,全生存,安全性,副作用プロファイルなどとした.全生存の最終解析はプロトコールに定めたとおり今後行う予定であるが,ここでは事前に設定した全生存の中間解析の結果を報告する.

結 果

主要解析のデータカットオフ時点で,推定 20 ヵ月無増悪生存率は 177Lu-ドータテート群 65.2%(95%信頼区間 [CI] 50.0~76.8),対照群 10.8%(95% CI 3.5~23.0)であった.奏効率は,177Lu-ドータテート群 18%に対し,対照群 3%であった(P<0.001).予定されていた全生存の中間解析において,死亡は 177Lu-ドータテート群 14 例,対照群 26 例であった(P=0.004).177Lu-ドータテート群ではグレード 3 または 4 の好中球減少が 1%,血小板減少が 2%,リンパ球減少が 9%に認められたのに対し,対照群では認められず,観察期間中に腎毒性の所見は認められなかった.

結 論

進行した中腸神経内分泌腫瘍患者では,177Lu-ドータテートにより,高用量オクトレオチド LAR と比較して無増悪生存期間が顕著に長くなり,奏効率が有意に高くなった.中間解析で認められた全生存への利益の予備的エビデンスは,計画されている最終解析で確認する必要がある.177Lu-ドータテート群では臨床的に重大な骨髄抑制が 10%弱に認められた.(Advanced Accelerator Applications 社から研究助成を受けた.NETTER-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01578239,EudraCT 登録番号 2011-005049-11)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 125 - 35. )