心臓手術後の循環補助のためのレボシメンダン
Levosimendan for Hemodynamic Support after Cardiac Surgery
G. Landoni and Others
急性左室機能不全は心臓手術の重大な合併症であり,高い死亡率に関連している.小規模試験のメタ解析で,心臓手術を行う患者に対するレボシメンダン(levosimendan)投与により,生存率が他の強心薬と比較して高くなる可能性が示唆されている.
事前に規定した基準に基づき,心臓手術後に周術期循環補助が適応となる患者を対象に,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,標準治療にレボシメンダン(持続静注で 0.025~0.2 mg/kg/分)を追加する群と,プラセボを追加する群に無作為に割り付け,最長 48 時間または集中治療室(ICU)退室まで投与した.主要評価項目は 30 日死亡率とした.
506 例を登録した時点で,試験は無益性のため中止された.248 例がレボシメンダン投与に,258 例がプラセボ投与に割り付けられた.レボシメンダン群とプラセボ群とのあいだで,30 日死亡率に有意差は認められなかった(それぞれ 32 例 [12.9%] と 33 例 [12.8%],絶対リスク差 0.1 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -5.7~5.9,P=0.97).また,人工呼吸器装着時間(中央値それぞれ 19 時間と 21 時間,差 -2 時間,95% CI -5~1,P=0.48),ICU 在室時間(中央値それぞれ 72 時間と 84 時間,差 -12 時間,95% CI -21~2,P=0.09),入院期間(中央値それぞれ 14 日と 14 日,差 0 日,95% CI -1~2,P=0.39)に有意差は認められなかった.低血圧,不整脈の発生率にも有意差は認められなかった.
心臓手術後に周術期循環補助を必要とした患者において,標準治療に低用量レボシメンダンを追加しても,30 日死亡率はプラセボと比較して低くならなかった.(イタリア保健省から研究助成を受けた.CHEETAH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00994825)