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January 19, 2017 Vol. 376 No. 3

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再発性多発性硬化症におけるオクレリズマブとインターフェロンβ-1a との比較
Ocrelizumab versus Interferon Beta-1a in Relapsing Multiple Sclerosis

S.L. Hauser and Others

背景

B 細胞は,多発性硬化症の発症に影響を及ぼす.オクレリズマブ(ocrelizumab)は,CD20 陽性 B 細胞を選択的に除去するヒト化モノクローナル抗体である.

方 法

同一デザインの 2 件の第 3 相試験で,それぞれ再発性多発性硬化症患者 821 例と 835 例を,オクレリズマブ 600 mg を 24 週ごとに静注する群とインターフェロンβ-1a 44μg を週 3 回皮下投与する群に無作為に割り付け,96 週間投与した.主要評価項目は年間再発率とした.

結 果

年間再発率は,試験 1 ではオクレリズマブ群がインターフェロンβ-1a 群より低く(0.16 対 0.29,オクレリズマブ群が 46%低い,P<0.001),試験 2 でも同様であった(0.16 対 0.29,オクレリズマブ群が 47%低い,P<0.001).事前に規定したプール解析では,12 週の時点で障害進行が確認されている患者の割合は,オクレリズマブ群がインターフェロンβ-1a 群より有意に低く(9.1% 対 13.6%,ハザード比 0.60,95%信頼区間 [CI] 0.45~0.81,P<0.001),24 週の時点でも同様であった(6.9% 対 10.5%,ハザード比 0.60,95% CI 0.43~0.84,P=0.003).T1 強調 MRI 撮像 1 回あたりのガドリニウム増強病巣の平均個数は,試験 1 ではオクレリズマブ群 0.02 に対しインターフェロンβ-1a 群 0.29 であり(オクレリズマブ群が 94%少ない,P<0.001),試験 2 では 0.02 に対し 0.42 であった(オクレリズマブ群が 95%少ない,P<0.001).多発性硬化症機能複合スコア(歩行速度,上肢運動,認知機能の複合評価尺度で,z スコアが負の場合は悪化を,正の場合は改善を示す)の変化量は,試験 2 ではオクレリズマブがインターフェロンβ-1a より有意に良好であったが(0.28 対 0.17,P=0.004),試験 1 では有意差は認められなかった(0.21 対 0.17,P=0.33).投与時反応は,オクレリズマブ投与例の 34.3%に認められた.重篤な感染症は,オクレリズマブ投与例の 1.3%とインターフェロンβ-1a 投与例の 2.9%で発生した.腫瘍は,オクレリズマブ投与例の 0.5%とインターフェロンβ-1a 投与例の 0.2%で発生した.

結 論

再発性多発性硬化症患者において,オクレリズマブは,96 週の投与期間について,インターフェロンβ-1a よりも疾患の活動性と進行が認められる割合が低いことに関連していた.オクレリズマブの安全性を検討するさらに大規模かつ長期の試験が必要である.(F. Hoffmann–La Roche 社から研究助成を受けた.OPERA I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01247324,OPERA II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01412333)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 221 - 34. )