The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 8, 2017 Vol. 376 No. 23

悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節転移に対する完全郭清と経過観察との比較
Completion Dissection or Observation for Sentinel-Node Metastasis in Melanoma

M.B. Faries and Others

背景

厚さが中等度(1.2~3.5 mm)の悪性黒色腫を有し,リンパ節転移を認める患者において,センチネルリンパ節生検は,悪性黒色腫特異的生存期間(すなわち悪性黒色腫により死亡するまでの期間)の延長に関連する.センチネルリンパ節転移陽性患者に対する完全リンパ節郭清の有用性は明らかにされていない.

方 法

国際共同試験で,標準的な病理学的検討または複数マーカーを用いた分子学的検討によりセンチネルリンパ節転移が確認された患者を,完全リンパ節郭清を即時に行う群(郭清群)と超音波検査によりリンパ節を観察する群(経過観察群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は悪性黒色腫特異的生存とした.副次的評価項目は,無病生存,センチネルリンパ節以外のリンパ節転移の累積発生率などとした.

結 果

intention-to-treat 解析でデータを評価しえた 1,934 例,per-protocol 解析の対象とした 1,755 例において,即時完全リンパ節郭清は悪性黒色腫特異的生存期間の延長に関連しなかった.per-protocol 解析では,追跡期間中央値 43 ヵ月の時点で,3 年悪性黒色腫特異的生存率の平均(±SE)は郭清群と経過観察群とで同程度であった(それぞれ 86±1.3%と 86±1.2%,log-rank 検定で P=0.42).3 年無病生存率は郭清群が経過観察群よりもわずかに高く(それぞれ 68±1.7%と 63±1.7%,log-rank 検定で P=0.05),これは 3 年の時点で所属リンパ節の病勢コントロール率が高かったことによるものであるが(92±1.0% 対 77±1.5%,log-rank 検定で P<0.001),これらの結果の解釈には注意が必要である.郭清群ではセンチネルリンパ節以外のリンパ節転移が 11.5%で同定され,再発の独立した強力な予後因子であった(ハザード比 1.78,P=0.005).リンパ浮腫は郭清群の 24.1%と経過観察群の 6.3%で認められた.

結 論

悪性黒色腫でセンチネルリンパ節転移陽性の患者において,完全リンパ節郭清を即時に行うことにより所属リンパ節の病勢コントロール率が上昇し,予後情報が得られたが,悪性黒色腫特異的生存期間は延長しなかった.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.MSLT-II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00297895)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 2211 - 22. )