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January 26, 2017 Vol. 376 No. 4

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Clostridium difficile 感染症の再発予防のためのベズロトクスマブ
Bezlotoxumab for Prevention of Recurrent Clostridium difficile Infection

M.H. Wilcox and Others

背景

入院患者における感染性下痢症の原因でもっとも多いのは Clostridium difficile である.抗菌薬治療後に再発することが多い.アクトクスマブ(actoxumab)とベズロトクスマブ(bezlotoxumab)は,それぞれ C. difficile トキシン A,B に対するヒトモノクローナル抗体である.

方 法

C. difficile の初感染または再発に対し標準治療である経口抗菌薬投与を受けている成人 2,655 例を対象に,2 件の二重盲検無作為化プラセボ対照第 3 相試験,MODIFY I と MODIFY II を行った.患者にベズロトクスマブ(10 mg/kg),アクトクスマブ+ベズロトクスマブ(それぞれ 10 mg/kg),またはプラセボを点滴静注した.MODIFY I ではアクトクスマブ(10 mg/kg)の単剤投与が行われたが,予定されていた中間解析後に中止した.主要エンドポイントは,修正 intention-to-treat 集団において,点滴静注後 12 週間以内に再発した感染(最初の臨床的治癒後はじめての発生)とした.

結 果

両試験で,C. difficile 感染症の再発率は,ベズロトクスマブ単剤群でプラセボ群より有意に低く(MODIFY I では 17% [386 例中 67 例] に対し 28% [395 例中 109 例],補正後の差 -10.1 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -15.9~-4.3,P<0.001;MODIFY II では 16% [395 例中 62 例] に対し 26% [378 例中 97 例],補正後の差 -9.9 パーセントポイント,95% CI -15.5~-4.3,P<0.001),またアクトクスマブ+ベズロトクスマブ群でもプラセボ群より有意に低かった(MODIFY I では 16% [383 例中 61 例] に対し 28% [395 例中 109 例],補正後の差 -11.6 パーセントポイント,95% CI -17.4~-5.9,P<0.001;MODIFY II では 15% [390 例中 58 例] に対し 26% [378 例中 97 例],補正後の差 -10.7 パーセントポイント,95% CI -16.4~-5.1,P<0.001).事前に規定したサブグループ解析(2 試験を合わせたデータセット)で,再発や有害転帰のリスクが高いサブグループでの再発率は,ベズロトクスマブが投与された両群で,プラセボ投与群より低かった.最初の臨床的治癒が認められた割合は,ベズロトクスマブ単剤群 80%,アクトクスマブ+ベズロトクスマブ群 73%,プラセボ群 80%であり,持続的治癒(最初の臨床的治癒後 12 週間以内に再発がない)が認められた割合は,それぞれ 64%,58%,54%であった.有害事象の発現率は 3 群で同程度であり,とくに頻度が高かったのは下痢と悪心であった.

結 論

C. difficile の初感染または再発に対し抗菌薬投与を受けている患者において,ベズロトクスマブは,プラセボよりも再発率が有意に低いことに関連し,また安全性プロファイルはプラセボと類似していた.アクトクスマブの追加による効果の向上はみられなかった.(Merck 社から研究助成を受けた.MODIFY I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01241552,MODIFY II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01513239)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 305 - 17. )