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January 5, 2017 Vol. 376 No. 1

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RNAi 治療薬による PCSK9 阻害の長期にわたる効果
A Highly Durable RNAi Therapeutic Inhibitor of PCSK9

K. Fitzgerald and Others

背景

インクリシラン(inclisiran)(ALN-PCSsc)は,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール低下の標的である前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)の合成を阻害する,長時間作用性の RNA 干渉(RNAi)治療薬である.

方 法

第 1 相試験において,LDL コレステロールが 100 mg/dL 以上の健常ボランティアを,単回用量漸増投与期(25,100,300,500,800 mg)または反復投与期(スタチン併用の有無にかかわらず,125 mg 週 1 回を 4 回,250 mg を 2 週ごとに 2 回,300 mg 月 1 回を 2 回,500 mg 月 1 回を 2 回)に,インクリシラン皮下注射群とプラセボ群に 3:1 の割合で無作為に割り付けた.各用量コホートには 4~8 例が含まれた.安全性,副作用プロファイル,薬力学的指標(PCSK9 濃度,LDL コレステロール値,予備的な脂質項目)を評価した.

結 果

とくに頻度の高かった有害事象は,咳嗽,筋骨格痛,鼻咽頭炎,頭痛,背部痛,下痢であった.すべての有害事象は軽症または中等症であった.重篤な有害事象,および有害事象による中止はなかった.グレード 3 のγ-グルタミルトランスフェラーゼ上昇が 1 例あり,試験責任医師によりスタチン治療に関連すると判定された.単回投与期では,300 mg 以上の用量で PCSK9 濃度が低下し(ベースラインから 84 日目までの最小二乗平均値が最大 74.5%低下),100 mg 以上の用量で LDL コレステロール値が低下した(ベースラインからの最小二乗平均値が最大 50.6%低下).PCSK9 濃度と LDL コレステロール値の低下は,300 mg 以上の用量で 180 日の時点で維持されていた.反復投与期は,すべてのレジメンで PCSK9 濃度(ベースラインから 84 日目までの最小二乗平均値が最大 83.8%低下)と LDL コレステロール値(ベースラインから 84 日目までの最小二乗平均値が最大 59.7%低下)が低下した.

結 論

この第 1 相試験では,インクリシラン投与による重篤な有害事象は認められなかった.300 mg 以上の用量で(単回・反復投与ともに),PCSK9 濃度と LDL コレステロール値が有意に低下し,6 ヵ月以上持続した.(Alnylam Pharmaceuticals 社,The Medicines Company 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02314442)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 41 - 51. )