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March 9, 2017 Vol. 376 No. 10

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医療費負担適正化法によるメディケイド拡大後 2 年間の健康と医療アクセス
Health and Access to Care during the First 2 Years of the ACA Medicaid Expansions

S. Miller and L.R. Wherry

背景

2015 年 9 月までに,米国の 29 州とワシントン D.C. が医療費負担適正化法(ACA)のもとでメディケイド拡大に参加した.われわれは,メディケイド拡大が,低所得成人の保険加入,医療利用,健康における変化に関連するかどうかを検討した.

方 法

全米健康聞取り調査(National Health Interview Survey)のデータを用いて,メディケイド拡大前 4 年間(2010~13 年)に対する,拡大後 2 年間(2014~15 年)の評価項目の相対的変化を,メディケイドを拡大した州と拡大していない州とで比較した.所得が連邦貧困水準の 138%を下回る 19~64 歳の米国民 60,766 例を対象とした.評価項目は,保険加入,過去 12 ヵ月間の医療アクセス・医療利用,回答者の報告に基づく健康状態とした.

結 果

2015 年 9 月 1 日までに,29 州とワシントン D.C. がメディケイドを拡大した.導入後 2 年目には,拡大した州では拡大していない州と比較して,無保険率が低下し(difference-in-differences 法で推定 -8.2 パーセントポイント,P<0.001),メディケイド加入率が上昇した(difference-in-differences 法で推定 15.6 パーセントポイント,P<0.001).メディケイド拡大は,医師受診または夜間入院の頻度,回答者の報告に基づく健康状態の有意な変化には関連しなかった.しかし,拡大していない州と比較すると,拡大した州では,必要なフォローアップ医療を受ける金銭的余裕がないという回答が減少し(difference-in-differences 法で推定 -3.4 パーセントポイント,P=0.002), 医療費の支払いに不安があるという回答が減少した(difference-in-differences 法で推定 -7.9 パーセントポイント,P=0.002).予約待ち期間が原因で治療が遅延したという回答は増加した(difference-in-differences 法で推定 2.6 パーセントポイント,P=0.02).

結 論

メディケイド拡大は,導入後 2 年目の保険加入と医療アクセスの増加に関連したが,予約待ち期間の延長にも関連し,医療アクセスには依然として課題が存在していることが示唆された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 947 - 56. )