The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 14, 2017 Vol. 377 No. 11

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

結核に対する薬剤感受性の迅速な分子検査法の評価
Evaluation of a Rapid Molecular Drug-Susceptibility Test for Tuberculosis

Y.L. Xie and Others

背景

フルオロキノロン系薬と注射二次薬は,多剤耐性結核の治療レジメンの中心であり,これらに耐性を示す場合は超多剤耐性結核と定義される.われわれは,喀痰試料からフルオロキノロン系薬,アミノグリコシド系薬,イソニアジドに耐性を有する結核菌を直接検出する,カートリッジを用いた自動分子検査法の精度を評価した.

方 法

結核の症状を呈する中国と韓国の成人を対象に前向きの診断精度研究を行い,この試験段階の検査法を,表現型薬剤感受性試験,DNA 配列決定と比較した.Xpert MTB/RIF 検査と喀痰培養を行った.結核菌分離株を用いて,表現型薬剤感受性試験と,katGgyrAgyrBrrs の各遺伝子ならびに eisinhA のプロモーター領域の DNA 配列決定を行った.

結 果

結核菌培養陽性の 308 例において,表現型薬剤感受性試験を参照基準とした場合,この試験段階の検査法の表現型耐性検出感度は,イソニアジドが 83.3%(95%信頼区間 [CI] 77.1~88.5),オフロキサシンが 88.4%(95% CI 80.2~94.1),限界濃度 0.5 μg/mL のモキシフロキサシンが 87.6%(95% CI 79.0~93.7),限界濃度 2.0 μg/mL のモキシフロキサシンが 96.2%(95% CI 87.0~99.5),カナマイシンが 71.4%(95% CI 56.7~83.4),アミカシンが 70.7%(95% CI 54.5~83.9)であった.この検査法の表現型耐性検出特異度は,限界濃度 2.0 μg/mL のモキシフロキサシン(特異度 84.0% [95% CI 78.9~88.3])を除き,すべての薬剤が 94.3%以上であった.DNA 配列決定を参照基準とした場合,この検査法の耐性関連変異検出感度は,イソニアジドが 98.1%(95% CI 94.4~99.6),フルオロキノロン系薬が 95.8%(95% CI 89.6~98.8),カナマイシンが 92.7%(95% CI 80.1~98.5),アミカシンが 96.8%(95% CI 83.3~99.9)であり,特異度はすべての薬剤が 99.6%(95% CI 97.9~100)以上であった.

結 論

この試験段階の検査法により,イソニアジド,フルオロキノロン系薬,アミノグリコシド系薬に対する耐性と関連する結核菌の変異が正確に検出された.迅速なポイントオブケア検査として,結核患者の治療決定の指針になることが期待される.(米国国立アレルギー感染症研究所,米国国立衛生研究所,中国科学技術部から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02251327)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1043 - 54. )