September 28, 2017 Vol. 377 No. 13
マントル細胞リンパ腫における自家幹細胞移植後のリツキシマブ
Rituximab after Autologous Stem-Cell Transplantation in Mantle-Cell Lymphoma
S. Le Gouill and Others
マントル細胞リンパ腫は一般に治癒が困難とされている.最初に免疫化学療法,その後自家幹細胞移植を行った場合の完全寛解率は高いにもかかわらず,再発がみられる.われわれは,維持療法としてリツキシマブ 375 mg/m2 を 2 ヵ月ごとに移植後 3 年間投与することで,奏効期間が延長するかどうかを検討した.
診断時年齢が 66 歳未満の患者 299 例を対象とした第 3 相試験で,240 例を,自家幹細胞移植後,リツキシマブによる維持療法を行う群と経過観察を行う群に無作為に割り付けた(各群 120 例).59 例は無作為化されなかった.無作為化された患者における移植後の無イベント生存(イベントは病勢進行,再発,死亡,リツキシマブに対するアレルギー,重症感染症と定義)を主要エンドポイントとした.
導入免疫化学療法(リツキシマブ,デキサメタゾン,シタラビン,白金誘導体 [R-DHAP])を 4 コース施行後,全奏効率は 89%,完全寛解率は 77%であった.257 例が移植を受けた.移植後に行った無作為化からの追跡期間中央値は 50.2 ヵ月(46.4~54.2)であった.無作為化から起算して,4 年無イベント生存率はリツキシマブ群 79%(95%信頼区間 [CI] 70~86)に対し,経過観察群 61%(95% CI 51~70)であった(P=0.001).4 年無増悪生存率はリツキシマブ群 83%(95% CI 73~88)に対し,経過観察群 64%(95% CI 55~73)であった(P<0.001).4 年全生存率はリツキシマブ群 89%(95% CI 81~94)に対し,経過観察群 80%(95% CI 72~88)であった(P=0.04).未補正の Cox 回帰分析では,4 年全生存率はリツキシマブ群のほうが経過観察群よりも高かった(死亡のハザード比 0.50,95% CI 0.26~0.99,P=0.04).
診断時年齢が 66 歳未満のマントル細胞リンパ腫患者では,移植後のリツキシマブ維持療法により,無イベント生存期間,無増悪生存期間,全生存期間が延長した.(Roche 社,Amgen 社から研究助成を受けた.LyMa 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00921414)