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November 23, 2017 Vol. 377 No. 21

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囊胞性線維症の機能残存ヘテロ接合体に対するテザカフトールとアイバカフトールの併用
Tezacaftor–Ivacaftor in Residual-Function Heterozygotes with Cystic Fibrosis

S.M. Rowe and Others

背景

囊胞性線維症は,CFTR 遺伝子の変異を原因とする常染色体劣性疾患であり,進行性に呼吸機能が低下する.変異 CFTR 蛋白のなかには機能が残存し,in vitro で CFTR 増強薬アイバカフトール(ivacaftor)に反応を示すものもあるが,アイバカフトール単独では Phe508del 変異 CFTR の活性は回復しない.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照第 3 相クロスオーバー試験において,囊胞性線維症で Phe508del 変異ヘテロ接合体と CFTR の機能残存に関連する CFTR 変異を有する 12 歳以上の患者 248 例を対象に,アイバカフトール単独,または CFTR 矯正薬テザカフトール(tezacaftor)との併用で有効性と安全性を評価した.患者を,6 つの介入手順のいずれかに無作為に割り付けた.8 週間の介入を 2 回行い,あいだに 8 週間の休薬期間を設け,テザカフトール+アイバカフトール,アイバカフトール単独,プラセボのいずれかを投与した.予測 1 秒量(FEV1)に対する比率(%FEV1)の,ベースライン値と,各介入期間の 4 週目と 8 週目の測定値の平均との絶対値の変化量を主要評価項目とした.

結 果

解析した介入期間数は,テザカフトール+アイバカフトール群 162 期間,アイバカフトール単独群 157 期間,プラセボ群 162 期間であった.%FEV1 の絶対値の変化量に関して,プラセボ群との最小二乗平均の差は,テザカフトール+アイバカフトール群が 6.8 パーセントポイント,アイバカフトール単独群が 4.7 パーセントポイントであった(いずれの比較も P<0.001).QOL 指標とした囊胞性線維症質問票改訂版(CFQ-R)呼吸器領域のスコアについても,実薬を投与した 2 群のほうが有意に良好であった.有害事象の発現率は 3 群で同程度であった.有害事象の多くは軽症または中等症であり,有害事象により試験レジメンを中止した例はテザカフトール+アイバカフトール群にはおらず,アイバカフトール単独群(1%)とプラセボ群(<1%)でもごくわずかであった.

結 論

Phe508del 欠失ヘテロ接合体と CFTR の機能残存変異を有する囊胞性線維症患者では,テザカフトール+アイバカフトールまたはアイバカフトール単独による CFTR 修飾療法が有効であった.(Vertex Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.EXPAND 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02392234)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 2024 - 35. )