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December 21, 2017 Vol. 377 No. 25

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ウガンダにおける乳児水頭症に対する内視鏡治療とシャント術との比較
Endoscopic Treatment versus Shunting for Infant Hydrocephalus in Uganda

A.V. Kulkarni and Others

背景

サハラ以南のアフリカにおいて,乳児の感染後水頭症は重大な健康問題である.治療には従来,脳室腹腔シャント術が行われているが,シャント機能不全をきたした場合に,修復することのできる外科医は通常すぐには見つからない.代替治療である脈絡叢焼灼を併用する内視鏡的第三脳室底開窓術(ETV–CPC)は,シャント術と比較して晩期機能不全を起こしにくいが,脳の発育と認知転帰の改善を促進しうる脳室の縮小が得られる可能性も低い.

方 法

ウガンダの感染後水頭症の乳児を対象に,ETV–CPC 後と脳室腹腔シャント術後とで認知転帰を比較する無作為化試験を行った.術後 12 ヵ月の時点で測定された Bayley 乳幼児発達検査第 3 版(BSID-3)の認知スコア(1~19 点で,スコアが高いほど能力が良好であることを示す)を主要評価項目とした.BSID-3 の運動スコアと言語スコア,治療失敗(治療関連死亡または再手術の必要性と定義),CT で計測した脳容量を副次的評価項目とした.

結 果

100 例を登録し,51 例を ETV–CPC 群,49 例を脳室腹腔シャント術群に無作為に割り付けた.12 ヵ月の時点での BSID-3 認知スコアの中央値に治療群間で有意差は認められなかった(ETV–CPC 群 4 点,脳室腹腔シャント術群 2 点;Hodges–Lehmann 推定差 0;95%信頼区間 [CI] -2~0;P=0.35).ETV–CPC 群と脳室腹腔シャント術群とで,BSID-3 運動スコア・言語スコア,治療失敗率(それぞれ 35%と 24%;ハザード比 0.7;95% CI 0.3~1.5;P=0.24),脳容量(z スコアはそれぞれ -2.4 と -2.1;推定差 0.3;95% CI -0.3~1.0;P=0.12)に有意差は認められなかった.

結 論

ウガンダの感染後水頭症の乳児を対象とした単一施設研究により,12 ヵ月の時点での認知転帰に関して,内視鏡的 ETV–CPC と脳室腹腔シャント術とで有意差は認められないことが示された.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01936272)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 2456 - 64. )