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July 27, 2017 Vol. 377 No. 4

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巨細胞性動脈炎におけるトシリズマブの試験
Trial of Tocilizumab in Giant-Cell Arteritis

J.H. Stone and Others

背景

巨細胞性動脈炎は一般に糖質コルチコイドを漸減すると再燃し,糖質コルチコイドの長期使用は副作用を伴う.巨細胞性動脈炎患者において,インターロイキン-6 受容体α阻害薬トシリズマブが糖質コルチコイド漸減中の再燃率に及ぼす影響を検討した.

方 法

1 年間の試験で,患者 251 例を,26 週かけてプレドニゾン(prednisone)を漸減し,トシリズマブ(1 回 162 mg)を毎週皮下投与する群,隔週皮下投与する群,プラセボを投与する群,52 週かけてプレドニゾンを漸減しプラセボを投与する群に,2:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,52 週の時点での,26 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群と比較した,各トシリズマブ群における糖質コルチコイドなしで寛解を維持していた患者の割合とした.主な副次的評価項目は,52 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群と比較した,各トシリズマブ群における寛解を維持していた患者の割合とした.プレドニゾンの投与量と安全性も評価した.

結 果

52 週の時点で寛解を維持していた割合は,トシリズマブ毎週投与群 56%,トシリズマブ隔週投与群 53%に対し,26 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群では 14%,52 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群では 18%であった(いずれの実薬投与もプラセボとの比較で P<0.001).52 週間のプレドニゾン累積投与量中央値は各実薬群で 1,862 mg であったのに対し,26 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群では 3,296 mg であり(いずれの比較も P<0.001),52 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群では 3,818 mg であった(いずれの比較も P<0.001).重篤な有害事象はトシリズマブ毎週投与群で 15%,トシリズマブ隔週投与群で 14%,26 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群で 22%,52 週かけてプレドニゾンを漸減したプラセボ群で 25%に発現した.トシリズマブ隔週投与群の 1 例が前部虚血性視神経症を発症した.

結 論

巨細胞性動脈炎患者において,26 週間のプレドニゾン漸減に毎週または隔週のトシリズマブ投与を併用することで,26 週間または 52 週間のプレドニゾン漸減にプラセボを投与した場合と比較して,糖質コルチコイドなしでの寛解維持が優れていた.トシリズマブによる寛解維持の可能性と安全性を明らかにするには,さらに長期の追跡が必要である.(F. Hoffmann–La Roche 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01791153)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 317 - 28. )