ホルモン療法歴のない前立腺癌に対するアビラテロン
Abiraterone for Prostate Cancer Not Previously Treated with Hormone Therapy
N.D. James and Others
アビラテロン酢酸エステルとプレドニゾロンの併用により,再発前立腺癌患者の生存期間は延長する.われわれは,複数の治療群を複数の段階で検討する(multigroup, multistage)試験デザインを用いて,長期のアンドロゲン除去療法(ADT)を開始する患者でこの併用治療の効果を評価した.
患者を,ADT のみを行う群と,ADT にアビラテロン酢酸エステル(1,000 mg/日)とプレドニゾロン(5 mg/日)を追加する(併用治療)群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.局所照射は,リンパ節転移陰性の非転移性前立腺癌患者には必ず行うこととし,リンパ節転移陽性前立腺癌患者には強く推奨した.放射線療法が計画されなかった非転移性前立腺癌患者と,転移性前立腺癌患者では,放射線学的所見,臨床所見,前立腺特異抗原(PSA)値から癌の進行を認めるまで治療を継続し,それ以外の患者には,2 年間またはなんらかの進行を認めるまで治療を継続することとした.主要評価項目は全生存期間とした.中間解析での主要評価項目は無失敗生存(治療失敗は放射線学的所見,臨床所見,PSA 値に基づく進行,または前立腺癌死亡と定義)とした.
2011 年 11 月~2014 年 1 月の期間に 1,917 例が無作為化された.年齢中央値は 67 歳,PSA 中央値は 53 ng/mL であった.患者の 52%は転移性前立腺癌であり,20%はリンパ節転移が陽性または不詳な非転移性前立腺癌であり,28%はリンパ節転移陰性の非転移性前立腺癌であった.95%は新規診断例であった.追跡期間中央値は 40 ヵ月であった.死亡は併用治療群では 184 例で発生したのに対し,ADT 単独群では 262 例で発生した(ハザード比 0.63,95%信頼区間 [CI] 0.52~0.76,P<0.001).このハザード比は非転移性前立腺癌患者で0.75,転移性前立腺癌患者で 0.61 であった.治療失敗イベントは併用群では 248 件発生したのに対し,ADT 単独群では 535 件発生した(ハザード比 0.29,95% CI 0.25~0.34,P<0.001).このハザード比は非転移性前立腺癌患者で 0.21,転移性前立腺癌患者で 0.31 であった.グレード 3~5 の有害事象は併用群の 47%(グレード 5 は 9 件)と ADT 単独群の 33%(グレード 5 は 3 件)で発現した.
局所進行前立腺癌や転移性前立腺癌の患者では,ADT にアビラテロンとプレドニゾロンを併用する治療は,ADT 単独による治療と比較して,全生存率と無失敗生存率が有意に高いことに関連した.(キャンサーリサーチ UK ほかから研究助成を受けた.STAMPEDE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00268476,Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN78818544)