The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 6, 2017 Vol. 377 No. 1

CD55 欠損症,早期発症蛋白漏出性胃腸症,および血栓症
CD55 Deficiency, Early-Onset Protein-Losing Enteropathy, and Thrombosis

A. Ozen and Others

背景

単一遺伝子性の消化器疾患の研究により,腸のホメオスタシスに重要な分子経路が明らかになり,標的療法の開発が可能になっている.

方 法

早期発症蛋白漏出性胃腸症に起因する腹痛と下痢を呈し,そのほかに原発性腸リンパ管拡張症,低蛋白血症による浮腫,吸収不全,頻度はより低いが,腸の炎症,反復性感染,血管障害性血栓塞栓症を認める患者 11 例を検討した.この疾患の遺伝様式は常染色体劣性遺伝であった.遺伝子多様体を同定するために全エクソーム解析を行った.患者の細胞における CD55 の機能を評価し,CD55 発現の外因性誘導により確認した.

結 果

CD55(崩壊促進因子)をコードする遺伝子にホモ接合型機能喪失変異を同定した.この変異により蛋白の発現が低下していた.患者の T リンパ球では補体活性化が進行し,補体の表面沈着と可溶性 C5a の産生を引き起こしていた.CD55 による共刺激機能とサイトカイン調節に異常が認められた.CD55 の遺伝的再構築,または補体を抑制する治療抗体により,補体の異常活性化が改善された.

結 論

補体の過剰活性化,血管障害性血栓症,蛋白漏出性胃腸症を伴う CD55 欠損症(CHAPLE 症候群)は,CD55 の両アレル機能喪失変異による補体の異常活性化によって引き起こされる.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 52 - 61. )