The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 26, 2018 Vol. 378 No. 17

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

テノホビル+エムトリシタビンを投与された HIV 感染妊娠女性の出産転帰
Birth Outcomes for Pregnant Women with HIV Using Tenofovir–Emtricitabine

K. Rough and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染妊娠女性を対象とした抗レトロウイルス療法(ART)に関する先行試験では,テノホビル,エムトリシタビン,リトナビルでブーストしたロピナビル(TDF–FTC–LPV/r)に無作為に割り付けられた女性は,ジドブジン,ラミブジン,リトナビルでブーストしたロピナビル(ZDV–3TC–LPV/r)に割り付けられた女性と比較して,児の超早産と出生後 14 日以内の死亡のリスクが高かった.

方 法

米国ベースの 2 件のコホート研究のデータを用いて,ZDV–3TC–LPV/r,TDF–FTC–LPV/r,TDF–FTC+リトナビルでブーストしたアタザナビル(ATV/r)に子宮内曝露した児の有害出生転帰のリスクを比較した.早産(在胎満 37 週未満),超早産(満 34 週未満),低出生体重(2,500 g 未満),超低出生体重(1,500 g 未満)のリスクを評価した.リスク比と 95%信頼区間の推定には,交絡因子で補正した修正ポアソンモデルを用いた.

結 果

4,646 件の出産転帰が得られた.在胎中に初回 ART レジメンとして TDF–FTC–LPV/r に曝露した乳児または胎児(128 例 [2.8%])は,TDF–FTC–ATV/r に曝露した児(539 例 [11.6%]),ZDV–3TC–LPV/r に曝露した児(954 例 [20.5%])よりも少なかった.ZDV–3TC–LPV/r を投与された女性と比較して,TDF–FTC–LPV/r を投与された女性は早産リスク(リスク比 0.90,95%信頼区間 [CI] 0.60~1.33)と低出生体重リスク(リスク比 1.13,95% CI 0.78~1.64)が同程度であった.TDF–FTC–ATV/r を投与された女性と比較して,TDF–FTC–LPV/r を投与された女性は早産リスク(リスク比 1.14,95% CI 0.75~1.72)と低出生体重リスク(リスク比 1.45,95% CI 0.96~2.17)が同程度か,わずかに高かった.超早産リスクや超低出生体重リスクにレジメン間で有意差は認められなかった.

結 論

米国の HIV 感染女性とその児において,TDF–FTC–LPV/r は,ZDV–3TC–LPV/r や TDF–FTC–ATV/r と比較して有害出産転帰のリスクは高くなかったが,一部の比較では検出力に限界があった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 1593 - 603. )