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June 21, 2018 Vol. 378 No. 25

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IDH1 変異陽性の再発または難治性の急性骨髄性白血病におけるイボシデニブによる持続的な寛解
Durable Remissions with Ivosidenib in IDH1-Mutated Relapsed or Refractory AML

C.D. DiNardo and Others

背景

急性骨髄性白血病(AML)患者の 6~10%で,イソクエン酸脱水素酵素 1 をコードする遺伝子(IDH1)に変異が起こる.イボシデニブ(ivosidenib)(AG-120)は,変異 IDH1 に対する経口小分子標的阻害薬である.

方 法

IDH1 変異陽性 AML を対象として,イボシデニブ単剤療法の第 1 相用量漸増・用量拡大試験を行った.治療を行ったすべての患者で安全性と有効性を評価した.主要有効性集団は,イボシデニブ 500 mg/日を投与し,6 ヵ月以上追跡した再発または難治性の AML 患者とした.

結 果

全体で 258 例にイボシデニブが投与され,安全性転帰が評価された.再発または難治性の AML 患者(179 例)のうち,3 例以上で発生したグレード 3 以上の治療関連有害事象は,QT 間隔の延長(患者の 7.8%),IDH 分化症候群(3.9%),貧血(2.2%),血小板減少症または血小板数減少(3.4%),白血球増多(1.7%)であった.主要有効性集団(125 例)では,完全寛解または造血能部分回復での完全寛解の割合は 30.4%(95%信頼区間 [CI] 22.5~39.3),完全寛解の割合は 21.6%(95% CI 14.7~29.8),全奏効の割合は 41.6%(95% CI 32.9~50.8)であった.これらの奏効期間の中央値はそれぞれ 8.2 ヵ月(95% CI 5.5~12.0),9.3 ヵ月(95% CI 5.6~18.3),6.5 ヵ月(95% CI 4.6~9.3)であった.輸血非依存性は 84 例中 29 例で得られ(35%),奏効が得られた患者では,得られなかった患者と比較して感染と発熱性好中球減少のエピソードが少なかった.完全寛解または造血能部分回復での完全寛解が得られた 34 例のうち,7 例(21%)ではデジタルポリメラーゼ連鎖反応アッセイで IDH1 変異の残存は検出されなかった.もとから存在し,同時に生じていた単一遺伝子の変異からは,臨床効果や治療抵抗性は予測されなかった.

結 論

進行 IDH1 変異陽性の再発または難治性の AML 患者において,イボシデニブ 500 mg/日は,グレード 3 以上の治療関連有害事象の頻度が低いこと,輸血非依存性,寛解持続との関連と,完全寛解が得られた一部の患者では分子的寛解との関連が認められた.(Agios Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02074839)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2386 - 98. )