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September 27, 2018 Vol. 379 No. 13

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イリノイ州における合成カンナビノイド関連凝固障害の集団発生
An Outbreak of Synthetic Cannabinoid–Associated Coagulopathy in Illinois

A.H. Kelkar and Others

背景

2018 年の 3 月と 4 月に,150 例を超える患者が,凝固障害と出血性素因を主訴にイリノイ州の病院を受診した.地域の医師と公衆衛生機関により,凝固障害と合成カンナビノイドの使用との関連が明らかになった.患者の血清検体と薬物検体の予備検査で,抗凝固薬のブロディファコウム(brodifacoum)が混入していた可能性が示された.

方 法

2018 年 3 月 28 日~4 月 21 日にイリノイ州ピオリアのセントフランシス・メディカル・センターに入院した患者について,医師から報告されたデータを再検討し,合成カンナビノイド関連凝固障害の診断基準を満たした成人患者をこの症例シリーズに含めた.確認のための抗凝固薬中毒検査は,担当医の判断で指示された.

結 果

34 例が,45 件の入院中に合成カンナビノイド関連凝固障害であったことが明らかになった.確認のための抗凝固薬検査が 34 例中 15 例で実施され,検査された 15 例でスーパーワルファリン中毒が確認された.抗凝固薬検査は,ブロディファコウム陽性が 15 例(100%),ジフェナコウム(difenacoum)陽性が 5 例(33%),ブロマジオロン(bromadiolone)陽性が 2 例(13%),ワルファリン陽性が 1 例(7%)であった.受診時症状として多かったのは肉眼的血尿 19 例(56%),腹痛 16 例(47%)などであった.腹痛を評価するために CT が施行され,12 例で腎臓の異常が認められた.ビタミン K1(フィトナジオン)が 34 例全例に経口投与され,23 例(68%)には静注も行われた.赤血球輸血が 5 例(15%)に行われ,新鮮凍結血漿輸注が 19 例(56%)に行われた.4 因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤が 1 例に使用された.1 例が特発性頭蓋内出血の合併症により死亡した.

結 論

われわれのデータは,合成カンナビノイドへのスーパーワルファリンの混入が,臨床的に重大な凝固障害を起こす可能性があることを示している.今回の症例シリーズでは,出血性素因を主訴に受診した症例のほとんどは,ビタミン K1 補充療法により症状が抑えられた.具体的な合成カンナビノイド化合物は明らかになっていない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1216 - 23. )