転移性腎細胞癌におけるスニチニブ投与単独と腎摘除後のスニチニブ投与との比較
Sunitinib Alone or after Nephrectomy in Metastatic Renal-Cell Carcinoma
A. Méjean and Others
腫瘍減量腎摘除術は,無作為化試験と大規模な後ろ向き研究によって支持され,20 年にわたり転移性腎細胞癌の標準治療となっている.しかし,標的療法の有効性が示されたことで,この標準治療としての地位が揺らいでいる.われわれは,標的療法を受けている転移性腎細胞癌患者における腎摘除術の役割を評価した.
第 3 相試験において,受診時に転移性淡明細胞型腎細胞癌が確定し腎摘除術の適応となった患者を,腎摘除後にスニチニブ投与を行う(標準治療)群と,スニチニブ投与のみを行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.無作為化は,スローン–ケタリング記念がんセンター(MSKCC)の予後モデルで分類した予後リスク(中リスクまたは高リスク)で層別化して行った.患者は,スニチニブ50 mg/日の 28 日間の投与と 14 日間の休薬から成る 6 週サイクルの治療を受けた.主要評価項目は全生存期間とした.
2009 年 9 月~2017 年 9 月に 450 例を登録した.計画されていた今回の中間解析の時点で,追跡期間中央値は 50.9 ヵ月であり,死亡は 326 件観察された.全生存期間について,スニチニブ単独群の結果は,腎摘除術+スニチニブ群の結果に対して非劣性を示した(死亡の層別化ハザード比 0.89,95%信頼区間 0.71~1.10,非劣性の 95%信頼区間上限≦1.20).全生存期間中央値はスニチニブ単独群 18.4 ヵ月,腎摘除術+スニチニブ群 13.9 ヵ月であった.奏効率と無増悪生存期間に群間で有意差は認められなかった.各群とも有害事象は予想どおりであった.
中リスクまたは高リスクに分類された転移性腎細胞癌患者では,スニチニブ投与単独は腎摘除後のスニチニブ投与に対して非劣性を示した.(パリ公立病院連合ほかから研究助成を受けた.CARMENA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00930033)