The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 23, 2018 Vol. 379 No. 8

経腟分娩後の出血を予防するためのトラネキサム酸
Tranexamic Acid for the Prevention of Blood Loss after Vaginal Delivery

L. Sentilhes and Others

背景

トラネキサム酸の使用により,分娩後出血による死亡率が低下する.われわれは,経腟分娩時にオキシトシンの予防投与を受ける女性にトラネキサム酸の予防投与を追加することで,分娩後出血の発生率が低下するかどうかを検討した.

方 法

多施設共同二重盲検無作為化比較試験で,経腟分娩を予定していた 35 週以降の単胎妊娠女性で,分娩を開始した例を,分娩後のオキシトシンの予防投与に加えて,トラネキサム酸 1 g を静脈内投与する群とプラセボを投与する群に割り付けた.主要転帰は分娩後出血とし,回収バッグで測定した 500 mL 以上の出血と定義した.

結 果

無作為化した 4,079 例のうち,3,891 例が経腟分娩した.主要転帰は,トラネキサム酸群では 1,921 例中 156 例(8.1%),プラセボ群では 1,918 例中 188 例(9.8%)に発生した(相対リスク 0.83,95%信頼区間 [CI] 0.68~1.01,P=0.07).トラネキサム酸群ではプラセボ群と比較して,医療提供者により評価された臨床的に重大な分娩後出血の発生率が低く(7.8% 対 10.4%,相対リスク 0.74,95% CI 0.61~0.91,P=0.004,多重比較の事後補正後は P=0.04),子宮収縮薬の追加投与を受けた女性の割合も低かった(7.2% 対 9.7%,相対リスク 0.75,95% CI 0.61~0.92,P=0.006,補正後 P=0.04).他の副次的転帰に群間で有意差は認められなかった.分娩後 3 ヵ月間の血栓塞栓イベントの発生率に,トラネキサム酸群とプラセボ群とのあいだで有意差は認められなかった(それぞれ 0.1%と 0.2%,相対リスク 0.25,95% CI 0.03~2.24).

結 論

経腟分娩時にオキシトシンの予防投与を受けた女性では,トラネキサム酸を使用しても,500 mL 以上の分娩後出血の発生率がプラセボ群と比較して有意に低くなることはなかった.(フランス保健省から研究助成を受けた.TRAAP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02302456)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 731 - 42. )