The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 11, 2019 Vol. 380 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ST 上昇を伴わない心停止後の冠動脈造影
Coronary Angiography after Cardiac Arrest without ST-Segment Elevation

J.S. Lemkes and Others

背景

虚血性心疾患は院外心停止の主な原因である.ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)の所見のない心停止後蘇生に成功した患者の治療における,即時的な冠動脈造影と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の役割は依然として明らかにされていない.

方 法

多施設共同試験において,STEMI の所見のない心停止を起こした患者 552 例を,冠動脈造影を即時に行う群と,神経学的回復を認めるまで待期する群に無作為に割り付けた.適応がある患者全例に PCI を施行した.主要評価項目は 90 日生存とした.副次的評価項目は,脳機能が良好な状態または軽度~中等度の障害を伴う状態での 90 日生存,心筋障害,カテコラミン補助期間,ショックの指標,心室性頻拍の再発,人工呼吸管理期間,大出血,急性腎障害の発生,腎代替療法の必要性,目標体温到達時間,集中治療室退室時の神経学的状態などとした.

結 果

90 日の時点で,即時造影群 273 例中 176 例(64.5%)と,待期的造影群 265 例中 178 例(67.2%)が生存していた(オッズ比 0.89,95%信頼区間 [CI] 0.62~1.27,P=0.51).目標体温到達時間の中央値は,即時造影群 5.4 時間,待期的造影群 4.7 時間であった(幾何平均比 1.19,95% CI 1.04~1.36).残りの副次的評価項目に群間で有意差は認められなかった.

結 論

院外心停止後蘇生に成功した STEMI の所見のない患者では,即時的な造影戦略が,90 日の時点での全生存に関して,待期的な造影戦略よりも良好であることは示されなかった.(オランダ心臓研究所ほかから研究助成を受けた.COACT 試験:Netherlands Trial Register 番号 NTR4973)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1397 - 407. )