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May 2, 2019 Vol. 380 No. 18

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低リスク患者における自己拡張型弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術
Transcatheter Aortic-Valve Replacement with a Self-Expanding Valve in Low-Risk Patients

J.J. Popma and Others

背景

経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は,手術による死亡リスクが高い重症大動脈弁狭窄症患者における手術に代わる治療であるが,リスクが低い患者では TAVR に関する知見は少ない.

方 法

重症大動脈弁狭窄症を有し,手術に伴うリスクが低い患者を対象に,自己拡張型弁輪上留置型生体弁を用いた TAVR と外科的大動脈弁置換術とを比較する無作為化非劣性試験を行った.850 例が 12 ヵ月の追跡調査を終了した時点で,主要エンドポイントである 24 ヵ月の時点での死亡または障害の残る脳卒中の複合に関するデータをベイズ法により解析した.

結 果

無作為化された 1,468 例のうち 1,403 例に TAVR または手術が施行された.患者の平均年齢は 74 歳であった.24 ヵ月の時点における主要エンドポイントの推定発生率は,TAVR 群 5.3%,手術群 6.7%であった(差 -1.4 パーセントポイント,差の 95%ベイズ信用区間 -4.9~2.1,非劣性の事後確率>0.999).30 日の時点で,TAVR を受けた患者は,手術を受けた患者よりも障害の残る脳卒中(0.5% 対 1.7%),出血性合併症(2.4% 対 7.5%),急性腎障害(0.9% 対 2.8%),心房細動(7.7% 対 35.4%)の発生率が低く,中等度または重度の大動脈弁閉鎖不全(3.5% 対 0.5%)とペースメーカー植込み(17.4% 対 6.1%)の発生率が高かった.12 ヵ月の時点で,TAVR 群の患者は,手術群の患者よりも大動脈弁圧較差が小さく(8.6 mmHg 対 11.2 mmHg),有効大動脈弁口面積が大きかった(2.3 cm2 対 2.0 cm2).

結 論

手術に伴うリスクが低い重症大動脈弁狭窄症患者において,自己拡張型弁輪上留置型生体弁を用いた TAVR は,24 ヵ月の時点での死亡または障害の残る脳卒中から成る複合エンドポイントに関して,手術に対する非劣性を示した.(メドトロニック社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02701283)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1706 - 15. )