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January 24, 2019 Vol. 380 No. 4

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パーキンソン病に対するレボドパの無作為化遅延開始試験
Randomized Delayed-Start Trial of Levodopa in Parkinson’s Disease

C.V.M. Verschuur and Others

背景

レボドパはパーキンソン病の症状に対する主要な治療薬である.レボドパに疾患修飾効果もあるかどうかを明らかにすることで,疾患経過のどの時点でこの薬剤による治療を開始すべきかの指針が得られる可能性がある.

方 法

多施設共同二重盲検プラセボ対照遅延開始試験で,初期のパーキンソン病患者を,レボドパ(100 mg を 1 日 3 回)をカルビドパ(25 mg を 1 日 3 回)と 80 週間併用する群(早期開始群)と,プラセボを 40 週間投与後にレボドパをカルビドパと 40 週間併用する群(遅延開始群)に無作為に割り付けた.主要転帰は,統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS;0~176 点で,点数が高いほど疾患が重症であることを表す)の合計スコアにおける,ベースラインから 80 週までの平均変化量の群間差とした.副次的解析には,4 週から 40 週までの症状の進行(UPDRS スコアで測定)や,44 週から 80 週までの治療の早期開始の遅延開始に対する非劣性(非劣性マージンは週あたり 0.055 点)が含まれた.

結 果

445 例が無作為化され,222 例が早期開始群,223 例が遅延開始群に割り付けられた.ベースラインの平均(±SD)UPDRS スコアは,早期開始群が 28.1±11.4 点,遅延開始群が 29.3±12.1 点であった.UPDRS スコアのベースラインから 80 週までの変化量はそれぞれ -1.0±13.1 点と -2.0±13.0 点(差 1.0 点,95%信頼区間 [CI] -1.5~3.5,P=0.44)であり,80 週の時点で有意な群間差を認めなかったというこの結果は,レボドパには疾患修飾効果がなかったことを示唆している.4 週から 40 週までの,週あたりの UPDRS の点数として測定した症状の進行の程度は,早期開始群で 0.04±0.23 点,遅延開始群で 0.06±0.34 点(差 -0.02 点,95% CI -0.07~0.03)であった.44 週から 80 週までの進行の程度は 0.10±0.25 点と 0.03±0.28 点(差 0.07 点,両側 90% CI 0.03~0.10)であった.44 週から 80 週までの進行の程度の差は,レボドパの早期投与の遅延投与に対する非劣性の基準を満たさなかった.ジスキネジアや,レボドパに関連した運動症状の変動の発生率に,群間で有意差は認められなかった.

結 論

80 週間の経過を評価した初期のパーキンソン病患者において,レボドパをカルビドパと組み合わせた治療には疾患修飾効果はなかった.(オランダ健康研究開発機構ほかから研究助成を受けた.LEAP 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN30518857)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 315 - 324. )