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October 24, 2019 Vol. 381 No. 17

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プライマリ PCI における経口 P2Y12 阻害薬を遺伝子型に基づいて選択する戦略
A Genotype-Guided Strategy for Oral P2Y12 Inhibitors in Primary PCI

D.M.F. Claassens and Others

背景

プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者が,遺伝子型に基づいて経口 P2Y12 阻害薬を選択することで利益が得られるかどうかは明らかにされていない.

方 法

評価者を盲検化した無作為化非盲検試験で,ステント留置を伴うプライマリ PCI を受ける患者を,無作為化後すぐに行う CYP2C19 の遺伝子検査に基づいて P2Y12 阻害薬を投与する群(遺伝子型に基づく群)と,チカグレロルまたはプラスグレルによる標準治療を行う群(標準治療群)に 1:1 の割合で割り付け,12 ヵ月間治療した.遺伝子型に基づく群では,CYP2C192 または CYP2C193 の機能喪失型アレルの保有者にチカグレロルまたはプラスグレルを投与し,非保有者にはクロピドグレルを投与した.主要評価項目は,12 ヵ月の時点での正味の臨床的有害事象(全死因死亡,心筋梗塞,確定的なステント血栓症,脳卒中,Platelet Inhibition and Patient Outcomes [PLATO] 基準での大出血と定義)の主要複合転帰(非劣性マージンを絶対差 2 パーセントポイントとして非劣性を検証)と,12 ヵ月の時点での PLATO 基準による大出血または小出血の主要出血転帰の 2 つとした.

結 果

主要解析は 2,488 例を対象に行った.内訳は遺伝子型に基づく群 1,242 例,標準治療群 1,246 例であった.主要複合転帰は,遺伝子型に基づく群の 63 例(5.1%)と標準治療群の 73 例(5.9%)に発生した(絶対差 -0.7 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -2.0~0.7,非劣性の P<0.001).主要出血転帰は,遺伝子型に基づく群の 122 例(9.8%)と標準治療群の 156 例(12.5%)に発生した(ハザード比 0.78,95% CI 0.61~0.98,P=0.04).

結 論

プライマリ PCI を受ける患者において,CYP2C19 の遺伝子型に基づいて経口 P2Y12 阻害薬投与を選択する戦略は,12 ヵ月の時点で,血栓イベントに関してチカグレロルまたはプラスグレルによる標準治療に対し非劣性を示し,出血の発生率がより低くなった.(オランダ健康研究開発機構から研究助成を受けた.POPular Genetics 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01761786,Netherlands Trial Register 番号 NL2872)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1621 - 31. )