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December 5, 2019 Vol. 381 No. 23

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特発性アカラシア患者における内視鏡的筋層切開術と外科的筋層切開術との比較
Endoscopic or Surgical Myotomy in Patients with Idiopathic Achalasia

Y.B. Werner and Others

背景

特発性アカラシアに対しては,バルーン拡張術と腹腔鏡下 Heller 筋層切開術(LHM)が確立された治療法である.経口内視鏡的筋層切開術(POEM)は,より低侵襲の治療法であり,初期の研究で期待される結果が得られている.

方 法

多施設共同無作為化試験で,症候性アカラシアの患者を対象に POEM と LHM+Dor 噴門形成術(Heller–Dor 手術)とを比較した.主要エンドポイントは臨床的成功とし,2 年後の追跡調査の時点で,さらなる治療は行わずに Eckardt 症状スコア(0~12 点で,スコアが高いほどアカラシアの症状が重度であることを示す)が 3 点以下であることと定義した.主要解析での非劣性マージンは -12.5 パーセントポイントとした.副次的エンドポイントは,有害事象,食道機能,消化管 QOL 指標(GIQLI)スコア(0~144 点で,スコアが高いほど機能が良好であることを示す),胃食道逆流などとした.

結 果

221 例を,POEM 群(112 例)と Heller–Dor 手術群(109 例)に無作為に割り付けた.2 年後の追跡調査の時点での臨床的成功は,POEM 群の 83.0%と Heller–Dor 手術群の 81.7%に認められた(差 1.4 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -8.7~11.4,非劣性の P=0.007).重篤な有害事象は,POEM 群の 2.7%と Heller–Dor 手術群の 7.3%に発現した.ベースラインから 24 ヵ月の時点までの食道機能(下部食道括約部の積算弛緩圧の測定により評価)の改善に治療群間で有意差は認められず(差 -0.75 mmHg,95% CI -2.26~0.76),GIQLI スコアの改善にも有意差は認められなかった(差 0.14 点,95% CI -4.01~4.28).3 ヵ月の時点で内視鏡検査で胃食道逆流が認められた患者の割合は,POEM 群では 57%,Heller–Dor 手術群では 20%であり,24 ヵ月の時点ではそれぞれ 44%と 29%であった.

結 論

この無作為化試験では,POEM は,2 年の時点でのアカラシアの症状のコントロールに関して,Heller–Dor 手術に対し非劣性を示した.胃食道逆流の発現頻度は,POEM を受けた患者のほうが Heller–Dor 手術を受けた患者よりも高かった.(欧州臨床研究基盤ネットワークほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01601678)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2219 - 29. )