The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 26, 2019 Vol. 381 No. 26

住血吸虫症 ― 2020 年と 2025 年の世界的目標に向けた進捗の評価
Schistosomiasis — Assessing Progress toward the 2020 and 2025 Global Goals

A.K. Deol and Others

背景

「住血吸虫症のない世界」というビジョンのもと,世界保健機関(WHO)は,この消耗性疾患を 2020 年までに抑制し,2025 年までに公衆衛生上の問題として制圧するという大きな目標を設定した.期限が迫るなか,プログラムが成功するのであれば,WHO のプログラムに従ったガイドラインを実証的に評価することが重要である.

方 法

9 つの住血吸虫症抑制プログラム(サハラ以南のアフリカ 8 ヵ国とイエメンで実施)から複数年の横断的データを照合し,解析した.データは,住血吸虫の種(Schistosoma mansoni [マンソン住血吸虫] または S. haematobium [ビルハルツ住血吸虫]),治療回数,全有病率,強度の高い感染の有病率に従って解析した.疾患の抑制は,強度の高い感染の有病率が指標施設全体で 5%未満と定義した.制圧の目標は,強度の高い感染の有病率がすべての指標施設で 1%未満と定義した.強度の高い感染は,マンソン住血吸虫感染では糞便 1 g あたりの虫卵数 400 以上,ビルハルツ住血吸虫感染では尿 10 mL あたりの虫卵数 50 超と定義した.

結 果

1 ヵ国(ニジェール)を除くすべてのプログラムで,治療回数 2 回以下で疾患抑制目標が達成された.これは現在の WHO ガイドラインでの予測(5~10 年)よりも早い.ベースラインで流行レベルが低度であった地域のプログラムは,中程度~高度であった地域のプログラムよりも,抑制目標と制圧目標の両方を達成した割合が高かった.ただし,制圧目標が達成されたのはマンソン住血吸虫感染のみ(ブルキナファソ,ブルンジ,ルワンダで治療回数 3 回以内)であった.全有病率と強度の高い感染との関連(治療回数で層別化)には国内でばらつきがあることが明らかであり,すべての疫学的状況にわたって抑制や制圧を単一の指標で定義することのむずかしさを強く示す結果であった.

結 論

これらのデータは,治療効果と適切な資源配分を明らかにし,世界的目標の達成にさらに近づくために,国の住血吸虫症抑制プログラムの進捗と治療戦略を,地域の疫学データを考慮に入れてより頻繁に再評価することの必要性を示唆している.(子ども投資基金財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2519 - 28. )