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August 8, 2019 Vol. 381 No. 6

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鎌状赤血球症に対するボクセロトールの第 3 相無作為化試験
A Phase 3 Randomized Trial of Voxelotor in Sickle Cell Disease

E. Vichinsky and Others

背景

脱酸素化鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)の重合は,鎌状赤血球症の病態生理に影響を及ぼす.したがって,HbS の重合を直接阻害することにより,疾患の転帰を良好に修飾することができる可能性がある.ボクセロトール(voxelotor)は HbS 重合阻害薬の 1 つである.

方 法

多施設共同第 3 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,鎌状赤血球症患者を対象に,2 用量のボクセロトール(1,500 mg と 900 mg,1 日 1 回経口投与)の有効性と安全性をプラセボと比較した.主要評価項目はヘモグロビン反応が認められた参加者の割合とし,intention-to-treat 解析において 24 週の時点でのヘモグロビン値がベースラインから 1.0 g/dL 超上昇することと定義した.

結 果

274 例が,ボクセロトール 1,500 mg 群,900 mg 群,プラセボ群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けられ,1 日 1 回経口投与を受けた.参加者の大部分は鎌状赤血球貧血(ホモ接合型ヘモグロビン S またはヘモグロビン Sβ0 サラセミア)を有し,約 2/3 がベースラインでハイドロキシウレアの投与を受けていた.intention-to-treat 解析においてヘモグロビン反応が認められた参加者の割合は,ボクセロトール 1,500 mg 群(51%,95%信頼区間 [CI] 41~61)のほうがプラセボ群(7%,95% CI 1~12)よりも有意に高かった.ベースラインから 24 週までのあいだに貧血が悪化した参加者は,ボクセロトールの 2 群のほうがプラセボ群よりも少なかった.24 週の時点で,間接ビリルビン値と網赤血球数のベースラインからの低下量は,ボクセロトール 1,500 mg 群のほうがプラセボ群よりも有意に大きかった.投与期間中に有害事象が発現または悪化した参加者の割合は群間で同程度であった.グレード 3 以上の有害事象は,ボクセロトール 1,500 mg 群の 26%,900 mg 群の 23%,プラセボ群の 26%に発現した.有害事象の大部分は,試験薬またはプラセボに関連しないと試験担当医師に判定された.

結 論

鎌状赤血球症患者を対象とした第 3 相無作為化プラセボ対照試験で,ボクセロトールによりヘモグロビン値が有意に上昇し,溶血マーカーが有意に減少した.これらの知見は,HbS 重合の阻害と一致し,疾患修飾の可能性を示している.(グローバル ブラッド セラピューティクス社から研究助成を受けた.HOPE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03036813)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 509 - 19. )