August 15, 2019 Vol. 381 No. 7
転移性悪性黒色腫に対するダブラフェニブとトラメチニブの併用の 5 年後の転帰
Five-Year Outcomes with Dabrafenib plus Trametinib in Metastatic Melanoma
C. Robert and Others
BRAF V600E または V600K 変異陽性で切除不能または転移性の悪性黒色腫患者は,BRAF 阻害薬と MEK 阻害薬の併用投与を受けた場合,無増悪生存期間と全生存期間が延長する.しかし,このような患者の長期の臨床転帰は明らかにされていない.持続的な利益が認められる患者の 5 年生存割合と臨床特性を明らかにするため,BRAF 阻害薬と MEK 阻害薬の併用療法に関する無作為化試験の長期データを再検討することを試みた.
未治療の患者を対象に BRAF 阻害薬ダブラフェニブ(150 mg 1 日 2 回)と MEK 阻害薬トラメチニブ(2 mg 1 日 1 回)の投与を行った COMBI-d 試験と COMBI-v 試験から得た長期生存データの統合解析を行った.追跡期間の中央値は 22 ヵ月(範囲 0~76)であった.主要エンドポイントは COMBI-d 試験が無増悪生存期間,COMBI-v 試験が全生存期間であった.
563 例がダブラフェニブとトラメチニブの併用に無作為に割り付けられた(COMBI-d 試験 211 例,COMBI-v 試験 352 例).無増悪生存割合は,4 年の時点で 21%(95%信頼区間 [CI] 17~24),5 年の時点で 19%(95% CI 15~22)であった.全生存割合は,4 年の時点で 37%(95% CI 33~42),5 年の時点で 34%(95% CI 30~38)であった.多変量解析では,いくつかのベースライン因子(パフォーマンスステータス,年齢,性別,転移臓器数,乳酸脱水素酵素値など)が,無増悪生存期間と全生存期間の両方に有意に関連していた.完全奏効は 109 例(19%)で得られ,長期転帰の改善と関連しており,5 年全生存割合は 71%(95% CI 62~79)であった.
ダブラフェニブとトラメチニブの併用による一次治療は,BRAF V600E または V600K 変異陽性で切除不能または転移性の悪性黒色腫患者の約 1/3 に長期的な利益をもたらした.(グラクソ・スミスクライン社,ノバルティス社から研究助成を受けた.COMBI-d 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01584648,COMBI-v 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01597908)